演舞場発 東寄席 第三回

演舞場発 東寄席 第三回 2014年10月30日

2014年10月30日、
演舞場発 東寄席 第三回として「落語と日本酒を楽しむ会」が開催されました。

前回同様、会場となった食堂「東」はほぼ満席。
会社の皆さんで、ご家族で、ご夫婦で、お客様の層も幅広く落語の人気の高さを感じられます。
またすでに常連のお客様もいらっしゃったようです。

テーブルには前菜と日本酒(浦霞)が用意され、 創業大正8年の老舗望月商店の専務、望月太郎さんの秋酒(ひやおろし)の説明から始まりました。 今回振る舞われるのは全国各地の秋酒6種、その内の1種、浦霞が最初に用意されています。

秋酒(ひやおろし)とは、冬に絞られた新酒を春に火入れ(加熱殺菌)して大樽に貯蔵し、ひと夏を越えて熟成させ、外気と貯蔵庫の温度が同じくらいになった秋に、火入れをしないまま(「ひや」のまま)大樽から樽に移して(「おろして」)出荷されたもの。 通常は出荷前にもう一度加熱処理されますが、秋酒(ひやおろし)はこの2度めの火入れをしないので、ひと夏かけて熟成された旨味をそのまま味わえるお酒だそうです。

今回はその中でも、やわらかくフレッシュな味わいのものを6種類ご用意。
日本酒に対する思いの伝わるお話で、この後の利き酒への期待も高まります。

浦霞を戴いたところで、開口一番、林家つる子さんの公演が始まりました。 演目は「二人癖」。
「つまらねえ」が口癖の男と「一杯のめる」が口癖の男との滑稽な掛け合いが面白い、お酒にちなんだお噺です。会場も徐々に温まってきます。

いよいよ柳家さん喬師匠の登場です。
しっとりとした語り口調で、会場のお客さんとの会話を楽しみながら一気に会場の一体感が高まります。
言葉の使い方から季節の食べ物のお話へとなめらかな"まくら"に続き、すっと本編に移っていきます。

(一席)「ちりとてちん」
こちらもお酒にちなんだ滑稽噺。 お世辞がうまく妙に腰の低い金さんの滑稽な演技、無愛想で食通ぶる竹の鼻につく演技、と人の演じ分けが見事。 腐って毛(かび)の生えた豆腐に唐辛子を混ぜてちりとてちんを作るところから、ろくさんが食べてもだえ苦しむ様子まで、見ているこちらが顔をしかめてしまうような情景描写。 最初から最後まで笑いの絶えない面白く楽しいお噺でした。

(二席)「福禄寿」
一席同様、軽やかな"まくら"から始まりましたが、本編の入りにかけて一気にシリアスな空気に引き込まれます。 母の哀愁と雪の描写が圧倒的。大事なシーンで日本酒が鍵となる、こちらも日本酒にちなんだ人情噺でした。 一つの演劇・映画を見終わった後のような充足感を味わい、いよいよ利き酒タイムへ。

落語のあとは日本酒の利き酒を楽しみます。ABCDEと札の付いた5種類の日本酒が運ばれてきました。商品名と味の特徴が書かれた用紙を見ながら、この5種のお酒を飲み比べ、これじゃないかと思う商品の横にA〜Eの記号を書き込んでいきます。 その間、お料理も焼き物〜御飯と運ばれ、テーブルの上が一気に賑やかになります。お客様も思い思いに利き酒を楽しんでいる様子。
望月太郎さんの正解発表を聞きながら、またまた飲み比べにいそしみます。
この盛り上がりが冷めぬまま、お楽しみ抽選会へと移ります。

お客様皆さん、会場に入る際に受け取った番号札に願いを込めます。 賞品として用意されたのは、望月商店さんがご用意してくれたお猪口、前掛け、柳家さん喬師匠の色紙、手ぬぐいなど。当たった方も当たらなかった方も、利き酒で温まった会場は大いに盛り上がりました。
お楽しみ抽選会が終わった後、望月太郎さんがお客様のテーブルをまわり、日本酒に関するお話をされていました。日本酒の好きなお客様が多いようで、皆さん日本酒話に大いに花を咲かせて楽しんでいる様子でした。

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