演舞場発 東寄席 第十回

演舞場発 東寄席 第十回 2015年12月26日

2014年2月から開催しております『演舞場発 東寄席』は、今回で早十回目を迎えました。
節目となる今回は、記念すべく第一回目の高座をお勤めいただいた柳家さん喬師匠にご登壇していただきました。 また、『日本酒を楽しむ会』も、第一回目と同じく八海山様にお越しいただきました。

さん喬師匠のお噺を聞きながら、温度の変化で楽しむ利き酒、そしてお酒に合う新橋演舞場の季節のお料理をお楽しみいただく『東寄席 第十回 落語と利き酒を楽しむ会』の始まりです。

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開演前のテーブルにはすでに会席弁当が並べられ、席に着くと本日一品目の日本酒、『清酒 八海山』が冷と熱燗で運ばれてきました。
一足先に、日本酒とお食事を楽しみながら落語の開演を待ちます。

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新橋演舞場では、新橋料亭街伝統の味を受け継ぐ調理場で毎日お食事をご用意しています。
今回も、旬の食材を使った新橋演舞場料理長による特別献立がふるまわれました。

温度の変化で楽しむ日本酒は、八海山様より厳選していただいた以下の5種。
『清酒 八海山』、『特別本醸造酒 八海山』、『吟醸酒 八海山』、『純米吟醸酒 八海山』、『冬季限定 越後で候 赤ラベル』。

美味しいお酒とお料理で会場も少しずつ温まってきたところで、開口一番、林家つる子さんの登場です。

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会場からは拍手とともに「かわいい!」という声が混じります。
笑顔が印象的なとてもかわいらしい女性の噺家さんです。実はこの林家つる子さん、この演舞場地下食堂「東」へのご登壇は今回が初めてではありません。
昨年の10月に開催された『東寄席 第三回』でも今回同様、さん喬師匠の前座としてご登壇いただいていました。その時はまだ前座だったつる子さんも、この11月に晴れて二ツ目に昇進されたそう。

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お話は、林家正蔵師匠に付けていただいたつる子さんの名前の由来に。

群馬出身のつる子さんだから鶴舞う形の群馬県にちなんで?など、会場のお客さまと掛け合いをしながら話は進みますが、後から聞いた本当の理由は、ただ、顔が「つるっ」としていたから、というもの。

会場からはどっと笑いが起きますが、たしかにお顔がつるっとしているので変に納得してしまいます。

和やかな雰囲気のまま、お噺は『初天神』へ。

お正月に近いこの時期にぴったりのお噺。
天神様の縁日でいろんなものを買って欲しい息子と、それに振り回される父親との滑稽なやり取りに思わず笑ってしまいます。

つる子さんのお噺で会場も和やかに温まったところで、柳家さん喬師匠の登場です。

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「どうぞお料理を食べながら」、「聞きやすいように椅子の向きも変えて」というお気遣いのことばに、期待で少し肩の上がったお客さまも心がほぐれたご様子。
そして、静かな語り口で次々と毒づくさん喬師匠に、会場は一気に盛り上がります。

クリスマスシーズンにちなんだ、レストランでのソムリエとのやり取りの再現は本当に見事です。まだお噺に入っていないのに、会場からは笑いだけでなく思わず唸り声とともに拍手が起こるほどでした。

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一席目は『刻そば』。
夜鳴きそばの屋台で、たくみに勘定をごまかす客を目撃した男が、自分も真似してみようとする滑稽話です。

冷え込む夜にお椀から立ち上る湯気、汁をまとったそばをすする様子、熱いものを食べたせいで出る鼻水、すべてが目の前で実際に起こっていることのように目に浮かんできます。
男が食べ終わる頃には、まるで自分が食べた後のように熱い湯気で顔が湿った感覚さえ覚えてしまいます。

そばをすする表現も見事ですが、どうしても勘定をごまかしたい男の滑稽ぶりに、会場は終始笑いに包まれました。

一席目が終わると、15分の休憩を挟みます。
箸を止めてしまっていた方もお料理の続きを楽しまれていました。

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二席目は『芝浜』。
酒好きのせいで仕事がうまくいかない魚屋の勝と、その女房との夫婦愛を描いた人情噺です。

こちらも冬の寒い夜明けの情景が目に浮かぶようです。
勝の間抜けなふるまいに笑いが起きながらも、健気で旦那思いの女房の愛と、それを受け止める勝との情深いやり取りに涙を流されるお客さまも少なくありませんでした。

最後には会場全体が優しい笑顔になる温かいお噺でした。

落語の会が終わると、お待ちかね、日本酒を楽しむ会です。
今回は、温度の変化で楽しむ利き酒の会として、5種類のお酒を冷、ぬる燗、熱燗、それぞれおすすめの温度でふるまわれました。

八海山 東京営業所の余田さんに、今回ふるまわれる5種のお酒についてご説明していただきました。
余田さんも、先ほどのさん喬師匠の人情噺に涙されたお一人のようで、鼻をすすりながらの登場です。

 

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「日本酒は5℃変われば味も変わる」と始まります。

普段あまり日本酒に親しんでいないと、飲み方も“冷”と“熱燗”くらいしか思いつきませんが、
燗のしかたにも
50℃前後の熱燗、45℃前後の上燗、40℃前後のぬる燗の3種類があるそうです。

だから、居酒屋さんで「熱燗“ぬる”めで!」と頼むのは間違いだそう。皆さん気を付けましょうね。

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同じお酒でも、冷と熱燗、またはぬる燗ではまったく違う味わいに、客席からは「本当だ!」という声も上がります。

丁寧な説明に耳を傾けながら、皆さん思い思いに日本酒を楽しまれているご様子でした。


テーブルの上は次々と運ばれる日本酒でいっぱいに。
お酒好きの方でも飲みきれない量かもしれません!

また、今回は魚沼から用意した仕込み水も一緒にお出ししていただきました。
八海山の蔵の方がいるところでしか出せない、貴重な仕込み水です。
するすると飲みやすい日本酒は特に、ついつい飲み過ぎてしまいますが、二日酔い防止のためにも、お水をしっかりと飲みながら楽しみましょう。

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5種の日本酒がすべて揃ったところで、しめの浅利の炊き込みごはんと合鴨のつみれのお吸い物が運ばれてきます。

八海山の余田さんが客席を周り、日本酒の話に花を咲かせている間、しばし日本酒としめのお食事を楽しんでいただきます。

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そして、恒例のお楽しみ抽選会です。

今回は全部で30名分の景品が用意されました。八海山様からは清酒や前掛け、一合枡。
柳家さん喬師匠からは色紙や手ぬぐい、さん喬師匠の顔の入った金太郎飴、
また林家つる子さんからはサイン色紙をご用意いただきました。

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こちらも毎回恒例の演舞場名物小倉アイス。

今回も落語に日本酒に料理に、大満足の会となりました。

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節目となる第十回目のネタ帳です。
2016年もまた、こちらに新たにネタが書き込まれていきます。

次回は、1月28日(木)『演舞場発 東寄席 第十一回
春風亭朝也・桂三四郎二人会』です。
落語をたっぷりとお楽しみいただく二人会、ぜひ一度お越しくださいませ。

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