演舞場発 東寄席 第二十三回

演舞場発 東寄席 第二十三回 2017年2月27日(月)

第23回『落語と日本酒を楽しむ会 in新橋演舞場』にお越しいただきまして、誠にありがとうございます。ここ新橋演舞場地下『東寄席』には3回目のご出演となります、桃月庵白酒師匠をお迎えいたしました。
『第23回 落語と日本酒と江戸野菜を楽しむ会 in 新橋演舞場』桃月庵白酒師匠

言わずと知れた超売れっ子噺家の白酒師匠の高座をお楽しみ頂きながら、新橋料亭街伝統の味を受け継ぐ演舞場の調理場でご用意させていただきました酒の肴と、料理の味を引き立てるお酒も楽しんで頂きました。 落語と共にお楽しみ頂く今回の日本酒は、宮城県の酒蔵「大沼酒造店」さんご提供の乾坤一です。大沼酒造店は正徳二年(1712年)創業、300年以上の歴史ある蔵で、酒造業界の"イチロー"と呼ばれる若き蔵元が醸するお酒は米の旨味を感じながらも切れのあるしっかりした味わいが特徴です。本日は4種類の銘柄をご提供頂きました。
 
 

開演

本日の酒蔵「大沼酒造店」さんのご紹介

演舞場のイベントではすっかりおなじみの神奈川県厚木市の酒店「望月商店」の望月さんからのご挨拶。日本酒は最近若い方から見直されており、世界を見てみれば和食ブームも起きている。そんな中今回ご推薦頂いたのは蔵元さん「大沼酒造店」さんの"乾坤一"。食中に適しているお酒で、食事を食べながらクックックッと進んでしまうお酒とのこと。
まずはご提供いただいたのは「七夕」。仙台ならではということで、とてもすっきりした飲みくちです。

また、こちらもすっかりおなじみのTYファーム、島田さんからも本日の江戸東京野菜のご紹介。「しんとり菜」というアブラナ科の葉物野菜です。白菜の仲間で、そのうちの"山東菜"という種類とのこと。鮮度を保つのが難しく流通していないそうです。江戸時代からある粋な野菜であまり主張がなく、和風の出汁をうまく吸収してくれるとのことで、シャキッとしながらも上品な味わいの、まさに"粋な"お野菜でした。
 
 

本日の落語演目

開口一番

本日の落語演目、開口一番は前座の桃月庵はまぐりさん。演目は「代脈」。誰もが医者を名乗ることが出来た時代、医療の知識も経験も何もない主人公の調子の良さ、いい加減さを表情豊かに語られ、会場は早くも笑いに包まれます。

一席目

続きまして今宵の主役、桃月庵白酒師匠の登壇。演目は「替り目」。
3回目ともなるとこれまでの演舞場での東寄席からの流れを踏まえたネタをふんだんに取り入れられ、前回の出演者風間杜夫師匠へのユーモア溢れる毒づきで会場を沸かせます。さらには、当イベントの司会を担当する新橋演舞場の内藤に対しても回を追うごとにコメント慣れしてきていると笑いを交えた鋭い指摘も。「内藤さんの挨拶は初めは5分だったものが10分になり、しまいには"1席"となるんじゃないか」というブラックジョークに会場も笑いが途絶えません。
さて、この寄席が開かれる数日前はちょうど初めてのプレミアムフライデーが開催されたタイミングでしたが、ここからすかさずお酒の話にはいっていきます。"3時なんて中途半端な時間に出されても飲むに飲めない、赤羽や立石じゃないんだから"と、酒好きにはたまらないネタを差し込んでこられます。噺家の皆さんも昼の落語会終わりだと16時くらいから飲むそうですが、噺家の方はお酒の席では愚痴をこぼさないのだそうです。陰気な酒は絶対にやらない、芸談はしない、そう常々先輩方から言われてきたのだそうです。だからこそ、常に笑いを作り出すことが出来るのかもしれません。

枕での笑いも冷めやらない中、一席目の「替り目」が始まります。これもお酒にちなんだネタで、主人の酔っ払った様、酔った時のなにやら面倒な絡み方や、それでいて憎めないキャラクターを見事に演じられており、絶妙な間合いで笑いが絶えません。会場は大いに盛り上がっていました。

〜 仲入り 〜

二席目

仲入りをはさみ、二席目の演目は「井戸の茶碗」。
今話題の国有地の販売に関しての問題を題材に、正直者の産廃業者のおじさんの話で会場を盛り上げます。
枕もそこそこに、正直者の登場人物が互いに譲らない、なんとも気持ちのよい人間模様の「井戸の茶碗」が始まります。白酒師匠の切れのある噺口と高い演技力で、板挟みに会う正直者の清兵衛の苦悩が面白おかしく浮かび上がります。人の清々しいまでの正直さにまどろっこしいような思いを感じつつも、徹底した強情っぷりに笑ってしまったり、最後の粋なオチでスカッとさせてもらい、会場はすっかり白酒劇場に酔いしれた二席目となりました。
 
 

日本酒を楽しむ会

今回の日本酒を楽しむ会は先述の通り宮城県の「大沼酒造店」さんからのご提供となりました。 創業は1,712年、305年にもなる歴史ある蔵です。ちょうど震災の年が299年目だったそうですが、大規模半壊し、現在は新たな蔵で酒造りを行っているそうです。今回ご提供頂いた”乾坤一”は初代宮城県知事が付けてくれた名称で、天下一のお酒になるようにという願いを込めて付けられた名前とのこと。地元のお米、地元の水を使って作っている地酒で、大きな規模ではやっていないため、まだまだ馴染みのない銘柄ですが、いずれも非常にすっきりした食事を邪魔しないお酒でした。 

日本酒を楽しむ会

乾坤一 七夕 純米酒
ササニシキ60%の純米酒。スッと切れのよいお酒。

乾坤一 手作り純米吟醸酒
こちらのお酒だけ美山錦。フルーティーな香りのスッキリしたお酒。

乾坤一 特別純米酒
乾坤一 HEAVEN&EARTH
いずれもササニシキを原料とし、酵母も磨きも同じなのだそうです。ただ唯一、仕込みを少しだけ甘めにしたものがHEAVEN&EARTHの方で、今回はワイングラスでの提供となりました。香りの良い、フルーティーなお酒でワイングラスにぴったり合う日本酒でした。


お楽しみ抽選会

お楽しみ抽選会

最後は恒例となりましたお楽しみ抽選会です。「しんとり菜」のプレゼントはなんと11本もあるとアナウンスが流れると会場から歓声がおきます。
皆さん、抽選に一喜一憂しながら会場は最後まで大変な盛り上がり、お楽しみいただきました。

さて、次回は3月29日(水)、落語と日本酒と江戸野菜を楽しむ会。柳家喬太郎師匠の独演会です。どうぞお楽しみに。

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