演舞場発 東寄席 第二十八回

演舞場発 東寄席 第二十八回 2017年7月28日(金)

 美味しい御料理とお酒を嗜みながら落語を楽しむ会は今宵も満員の会場を沸かせました。28回目を迎え、会場の中には以前もお越しいただいたお客様のお顔も増え、お帰りの際にも「楽しかったよ」と笑顔でお帰りいただけることが私たちの励みでもあります。東寄席はお客様に育てていただいております。今後共ぜひご期待いただければ幸いでございます。さて、この度の楽しい会をまた振り返りご紹介します。
『第二十八回 落語と日本酒と江戸野菜を楽しむ会 in 新橋演舞場』古今亭菊之丞

落語を楽しむ

開口一番 『子ほめ』古今亭まめ菊

 今宵のはじめを温めますのは古今亭菊之丞師匠のお弟子さんの古今亭まめ菊さんです。男性ばかりの落語の世界に、最近では随分女性のお弟子さんをお見かけするようになりました。親しみの雰囲気のあるまめ菊さんから、会場中よく通るお声で『子ほめ』の噺。お世辞を言って、ただ酒を飲もうなんていうこの噺は、熊沢酒造の美味しいお酒で陽気になった会場には似合いのお噺。これからのまめ菊さんにも期待が寄せられる楽しい一席でした。

一席目 『長短』古今亭菊之丞

古今亭菊之丞

 お待ちかねの菊之丞師匠の登壇は大きな拍手で迎えられました。東寄席は今宵で四度目と9月ご出演の柳家さん喬師匠に並んで最多出演の菊之丞師匠。この東寄席を支えて頂いているおひとりという存在とも言えるほどになりました。非常に人気があり、これまでも菊之丞師匠の落語は初めてというお客様のハートまでしっかり掴み今宵を楽しみにしていらした方もいらっしゃるほど、惹きつける魅力のある噺家です。

古今亭菊之丞

 さあ、そんな菊之丞師匠の演目一席目は、性格が短気な男と気の長い男の二人が登場する『長短』の噺。登場人物が少ない上に気の長い男を間延びさせずにきかすのが腕の見せ所といった演目です。

 今宵はこの二人を短気の男が江戸っ子で、対する気の長い男は関西人というなんとも興味深い設定のお話に。設定のうまさも然ることながら菊之丞師匠の関西人さながらの演技力、そうかとおもうと絶妙なタイミングで切り込む江戸っ子のキレ。見事に正反対の男二人が高座に登場したのではと思わすほどリアルに描き、会場を笑いで沸かせました。

古今亭菊之丞

 この話の見どころでもある「気の長い男がお菓子を食べる」シーンなどは、会場から思わず拍手があがるほど。口を開かず回す ように動かし、ちゃっちゃと小さな音をたてる。その絶妙な動きは言葉にして表さずともその菓子がお茶が無いと喉に詰まりそうなずっしりとしたものとわかります。それはもうため息が出るほど美味しそうに味わっているのが見てわかり、客席からは笑いと感動の声が漏れました。
 煙管を吸うシーンなど「煙草を呑む」という言葉が当て嵌まるように幸せそうに小さな音をたててふかす。細い煙が師匠の頭上を渦を巻きながら流れ出ている錯覚を覚えるほどその演技のうまさに、会場中の目が高座に集中しました。
あまりの感動と興奮。つかの間ともいえるその一席目は旨い食事を腹八分目まで満たし「もっと食べたい」という欲求を持たせてるように憎い仲入り。なんて芸の立つ噺家でしょう。

二席目 『青菜』古今亭菊之丞

古今亭菊之丞

 続いて着物を変えた師匠が登壇するときには心の底から「待ってました!」と言わんばかりの拍手が起こります。続いての演目は『青菜』。男というのはいつの時代も亭主関白のように周りに見栄を張りたいもの。とはいえ、落語の噺に出てくる妻のほとんどは亭主を尻に敷いた「かかあ天下」というのが世の常です。ここに出てくる植木屋の男もそのうちの一人なようで・・。

 お噺は、とあるお屋敷の主人から植木屋に一休みでお酒をすすめるところから始まります。上方では柳影という名の実は「なおし」の安酒と、氷を敷いた鯉の洗いをつけてもらい植木屋は良い心地に。そこにつけて主人が青菜もすすめるが、主人の妻が奥の間から「青菜は今無くなってしまいました」と言った意味で手をついて「鞍馬山から牛若丸が出まして、名を九郎判官(菜を食らうから”くろうほうがん”)」という。主人も「それならよしておけ」といった意図で「義経にしておけ」と隠語で返す。
 客前で失礼が無いように夫婦の隠語があるようですね。

 これを見た植木屋が、この夫婦の巧妙なやりとりを何度となく「へえ」と感心しきって何度も口ずさみます。これを家でもやろうという魂胆。典型的な滑稽噺ですね。

古今亭菊之丞

 植木屋が何度となく「九郎判官、義経にしておけってねえ」と繰り返す。落語は時にこういった耳慣れない古典じみたセリフがさり気なく生まれますが、ここをじっくり聞かせるのが師匠の凄さ。 聞きなれない呪文のような言葉がおかげで印象づいてしまうというその妙技についには客席は脇腹をくすぐられたような思いに駆られます。師匠の噺の面白さというのは観客をおいていかないこと。その手法が押し付けがましくなく、それがさり気ないのが師匠らしいの「粋」の技。一話一話が丁寧に描かれるのでだれもがその人物を目前の高座に描けるのです。
 そしてもうひとつはなんといっても物真似がうまい。二席目の酒を呑む場面など小さな「コッ」という音をたてうんうんと呑む姿など、なおしの酒であろうがぬるい酒であろうが饗された酒のうまいこと、良い主人のもてなしに出されたから良い酒として味わえているということがより伝わります。噺家であり演者。客席ではつい目の前のお酒に手がのびてしまう方も。二席目も笑いの止まらぬ旨いひと時をお楽しみいただきました。

味覚を楽しむ

演舞場の美味を楽しむ

○演舞場の美味を楽しむ

 陽炎も立ち上がるほどの暑い夏に旬の夏野菜で暑気払いを。豆腐は柔らかい甘みのあるもろこしを使って。稚鮎をは天ぷらに。焼き野菜にはズッキーニや茄子、赤や黄の目にも鮮やかなパプリカをご用意。向付にはスズキのこどもの福子の洗いに爽やかな梅肉醤油を添えて。主菜は大きな揚げ茄子と牛ステーキにきのこのソースを掛けました。ご飯はちりめんじゃこのごはん、吸い物には湯引きの鱧を。最後の水菓子は冷やし白玉ぜんざいを。初夏の楽しみ満載でその味覚をお楽しみいただきました。

江戸東京野菜を楽しむ

江戸東京野菜を楽しむ

○TYファームの高井戸半白胡瓜
(たかいどはんじろきゅうり)

 有機無農薬で栽培する野菜は非常に生産が難しいもの。TYファームの島田さん曰く、この日にお届けしたいというお野菜がその日に収穫できるかどうかというのは巡り合わせで、いつもドキドキするのだそう。厨房に入る直前にもその野菜を口に入れて味を確かめてから絶対の自信で提供するといいます。

江戸東京野菜を楽しむ

 この日いただいたお野菜「高井戸半白胡瓜」も本当にこの時期を超えてしまうと苦味や胡瓜の中に鬆(す)が入ってしまって美味しさが損なわれてしまうのだそう。そんな貴重タイミングの野菜を頬張ればその恵みとの出会いに感謝すらしてしまいます。野菜としての無骨さと多少の苦味のある美味しい野菜です。農業が進化している昨今、野菜は交配が掛け合わされて行く中で甘みばかりが重視され、土から生まれたその野菜としての苦味が敬遠されがちですが、島田さんは「雑味があるのが旨い。野菜としてもつ苦味のうまさも大切にしたい」と語ります。実物は上半分が緑で下半分が白いというもう絶滅危惧種にもなっているこの胡瓜。無農薬で種を守り続けるTYファームさんのおかげで今宵はその貴重な野菜の旨味を味わうことができました。もろみ味噌を添えてほんのりとした甘みと高井戸半白胡瓜そのものの味わいを。貴重な縁が運んだ美味しい野菜、これから出会う江戸東京野菜にも期待が高まります。

お酒を楽しむ

今回の日本酒は昨年も同じ時期にお越しいただきました湘南・茅ヶ崎で明治五年創業の熊澤酒造のお酒です。熊澤酒造とは湘南にあるためどことなく夏が似合う印象がありますが、茅ヶ崎の一番北、海から内陸に5kmほど離れた寒川神社の近くにあるのだそう。杜氏の五十嵐さんにお話を伺いました。

創業時から手作りの少量生産による良質な酒を造り続けている熊澤酒造のあるこの土地は水が豊富。丹沢山系の伏流水を使っているためたくさんのミネラルを吸着しているのだそう。「お酒にミネラル感がでているのは非常に珍しいお酒です。米どころで作られるお酒とはクリアでやわらかいですが正反対、硬質な分食事にあうお酒を生み出すことができました。」と五十嵐さん。 戦後、酒造のある一帯では安酒を多く作っていたそう。その時代から規模を縮小しながら美味しい酒蔵だけが残ったのだそう。つまりそれが熊澤酒造。湘南に残された最後の蔵元なのだそう。現在余った敷地はレストランやギャラリーなども併設するようになり地元の方たちにその美味しさが親しまれています。挑戦と拘り、そしてこの土地のうまさをボトルに込め、どの食事にも合うおいしさを届けている酒造です。その美味しさと同じくラベルのデザインにも拘りを。今宵はそんなあらゆる拘りを備えた四酒をお楽しみいただきました。

お酒を楽しむ

(写真右から)

○地ビール 大仏ビール シュバルツ
鎌倉の大仏をデザインしたラベルが特徴的なドイツ語で「黒」をいみするバイエルン地方発祥の下面発酵ビール。ローストモルトの香ばしさとすっきりとした味わいが特徴です。2008年度ワールド・ビア・カップ ドイツ系黒ビール部門金賞受賞

○湘南 さざなみ スパークリング酒
程よい麹の甘みを爽やかに微発泡のスパークリングで味わえる。飲みやすいので日本酒が苦手という人にもお勧め。

○吟望 天青 特別純米酒
米の旨味が最大限に出ており、後味にキレが残る純米酒。 酒造好適米「新潟県産 五百万石」を60%まで磨いた純米酒で天青の定番商品。食事に良く合う一酒。

○千峰 天青 純米吟醸酒
口の中で旨味が広がるおいしさ。雑味が無くなったような澄み切った口当たりが特徴。

お楽しみ抽選会を楽しむ

お楽しみ抽選会

 今宵も選りすぐりの景品を揃えた抽選会で締めくくりました。限られた景品の中から当選されたお客様とテーブルで囲む皆さまの笑顔で終えられました。また次の機会も素晴らしい景品をご用意いたしますので期待してご参加ください。

 次回は8月28日(月)入船亭扇遊師匠をお招きして東寄席を開催いたします。どうぞお楽しみに。

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