演舞場発 東寄席 第三十五回 2018年1月30日(火)
第三十五回『落語と寅さんロケ地岡山・津山市の美味しいものを楽しむ会in新橋演舞場』にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。
大寒を過ぎ、冷たい風が吹きすさぶ季節になってまいりました。
今回は、出演希望アンケートで一番人気だった柳家三三師匠をお招きいたしました。
流石人気No1とあって「東寄席」史上最多のお客様にご来場頂き、開演前から期待の熱気に包まれます。
また、お食事とお酒は、初の試みとして松竹グループならではの企画「寅さんシリーズ」のロケ地巡りを楽しんで頂きました。その企画の最初を飾って頂いたのは、寅さん最後のロケ地となりました岡山県津山市の名産、名物をお召し上がりいただきました。
味覚を楽しむ
本日の演舞場のお料理

今宵は、津山市の名産品を中心に、料亭・金田中で修行を積んだ新橋演舞場・斎藤正達料理長による、お食事をご用意致しました。
先付けは蕗と筍の田舎煮。八寸には津山名物牛の煮こごり、牛の干し肉ソテー、生姜の佃煮を。
大和芋の短冊揚げ、松前漬け、子持ち昆布、玉子焼、紅白蒲鉾 、小鯛俵焼き。煮物は大根、ブロッコリー、人参、蒟蒻、ミニ帆立。
主菜は銀ヒラス粕漬け焼きに花蓮根を添えて。
お食事は津山名物の牛ホルモン焼うどんと、鮭、大根、人参、お揚げ、蒟蒻、小松菜の入った粕汁で温まって頂きました。
デザートには津山名産西条柿の巻柿とりんごを。
巻柿は薄く伸ばした干し柿にゆずを挟み巻き込んだ、香り良いお菓子です。
落語を楽しむ
開口一番『道灌』柳家小ごと

開口一番は柳家小ごとさんにお務めいただきました。柳家一琴師匠のお弟子さんです。
ひょうきんな表情にふくふくとしたお顔立ちに場が和みます。いざ噺が始めると、大きな声で堂々と演じる様は、なかなかのもの。2017年の6月に前座さんになられたばかりですが、将来が楽しみな噺家さんですね。
演目は「道灌」。 戦国初期の有名な風流武将・太田道灌の「山吹の里」の伝説をもとに繰り広げられる古典落語を、軽やかな噺口調で演じきっていただきました。
一席目『お血脈』柳家三三

いよいよお待ちかね、三三師匠の登場です。
「待ってました!」と威勢の良い掛け声が飛び、会場は沸き立ちます。
今回は「これからの落語界を確実に背負って立つ逸材」と大人気の三三師匠をお迎えするにあたり、いつもよりも定員を増やしての開催となった東寄席。お客様でいっぱいの会場を見渡し、「演舞場も品がないことするねえ」とニヒルに笑わせます。
師匠の枕は、最近のニュースやバレンタインなど時事ネタを盛り込んで、次から次へと展開していきます。会場は大笑い....と不意に、「いつまで枕やってるんだ、早く噺はじめないかな、と思っているでしょう?
実は...もう始まっているんですよ」と師匠。
演目は「お血脈」。噺家の地の語りを中心に進める「地噺(じばなし)」と呼ばれるジャンルの演目です。
ストーリーは善光寺にあるお血脈と呼ばれる判子をめぐる短編。「くすぐり」と呼ばれる演者の身内話や時事ネタを挟みながら、お話は進みます。師匠の噺の巧みさ、アレンジ力に会場中がすっかり魅了されてしまいました。
〜仲入り〜
二席目『錦木検校』柳家三三

休憩を挟み、なお熱気冷めやらぬ中、二席目が始まります。
「一席目、長くなっちゃったので次は要点だけかいつまんで話します...」と、会場はまたまた大笑い。「たっぷりと!」と声援が上がります。

演目は「錦木検校」。もともとは「三味線栗毛」というお噺に登場する検校の部分にフォーカスした演目です。
盲目のあんま錦木と、出来が悪いと噂されるお殿様の次男坊、酒井雅楽頭との人情話。師匠の巧みな語りにいつの間にか引き込まれていきます。
寅さんロケ地岡山・津山市の美味しいものを楽しむ

三三師匠の落語と共にお楽しみ頂いたのは寅さん最後のロケ地となった岡山県津山市のお料理とお酒です。津山市は「ケンミンショー」でも紹介された牛肉主体の食文化を持つことで有名な街だそうです。本日は津山市観光振興課の方にお越しいただき、解説して頂きました。
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↑ホルモンうどん。プリプリ食感のホルモンと甘辛いタレが絡み、病みつきなる味わい
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↑旨味のぎゅっと詰まった牛の干し肉のソテーと、牛肉の煮こごり
古くから牛肉の生産地として知られており、8世紀にはすでに「牛市」が開かれていました。肉食が禁じられていた江戸時代でも、津山藩だけが養生食(薬として食べること)として肉食が認められていたほど、牛肉と深いつながりのある土地です。
そんな牛肉に所縁のある津山で、近年人気のある料理といえばB-1グランプリでの受賞経歴もある「ホルモンうどん」です。その美味しさは市内にある食肉処理センターの職人のこだわりに支えられています。臭みを残さないよう素早く洗浄作業を行うことで、臭みがなくジューシーなホルモンを提供することができるのだそう。
本日は、牛肉料理の他にも、生姜の佃煮や巻柿など、津山の味覚をたっぷりを味わっていただきました。
お酒を楽しむ
津山市は、酒造好適米「雄町」をはじめ多くの酒造好適米を栽培しており、美味しい日本酒の生産地でもあります。
今宵は市の観光振興課さんご推薦の二社のお酒を交互にお楽しみいただきました。

(写真左から)
多胡本家酒造場
加茂五葉 蔵出し特選しぼりたて生原酒
岡山県産米を使い、蔵内で熟成させた特選生原酒です。
四段仕込の特徴を引き出したふくらみのある淡麗な味わいです。
多胡本家酒造場
つやまさん 純米酒 津山産米日本晴れ使用
本日一番はじめに供されたお酒です。
酒造りに熱い想いを受け継いだ蔵人の手により醸された純米酒です。
すっきりとしたキレのある味わいの中に、ふくよかさとを感じさせるお酒です。
難波酒造
作州武蔵 あばの颯(かぜ) 源流米純米酒
はで干しと呼ばれる昔ながらの天日干しで乾燥させたお米を使っています。
お水もお米も全て津山産の雑味が少なく、お米本来の旨味が感じられるお酒です。
難波酒造
作州武蔵 初しぼり生原酒
宮本武蔵にちなみ命名された、香り豊かなお酒です。
辛口新酒独特の強烈な香りとすっきりした切れ味をお楽しみ頂きました。
お楽しみ抽選会

落語会の余韻に会場の熱気は冷めやりません。津山の美味しい日本酒とつまみに、お酒も進みます。
お客様同士の距離もぐっと縮まり、
楽しい宴は続きます。
最後は、東寄席恒例の「お楽しみ抽選会」です。今回は津山市観光振興課より、「ホルモンうどんのたれ」や「美作ローカル鉄道10周年記念カレンダー」、そして本日お召し上がり頂いた日本酒などをプレゼントして頂きました。また、三三師匠からはサイン入り色紙を(達筆です!)頂きました。
今回も満員御礼となりました、大盛況のうちに幕を閉じた『東寄席』。
次回は2018年2月28日(日)、桃月庵白酒師匠の登場です!どうぞお楽しみに!