演舞場発 東寄席 第三十八回

演舞場発 東寄席 第三十八回 2018年3月30日(水)

 第三十八回『落語と日本酒と伝統野菜を楽しむ会in新橋演舞場』にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。
『第三十八回 落語と日本酒と伝統野菜を楽しむ会in新橋演舞場』柳家権太楼

 やわらかな春風に心華やぐ季節となりました。
今宵は、「東寄席」には満を持して登場となります柳家権太楼師匠に高座をお勤め頂きました。
初登場ながら完売御礼の超満員、人気が実感できます。

 権太楼師匠の高座をお楽しみ頂きながら、新橋料亭街伝統の味を受け継ぐ演舞場の調理場でご用意させて頂きましたお料理と、こちらも初登場となります高知の濱川酒店と共にお楽しみいただきました。

それでは振り返りご紹介いたします。

演舞場の味覚を楽しむ

本日の演舞場のお料理

 新橋の名店、料亭金田中の流れを汲む新橋演舞場調理場、斎藤正達調理長による特別献立をご用意いたしました。

 酒の肴膳として、先付けには本日の江戸伝統野菜、のらぼう菜の辛子マヨネーズ和えを。
八寸には筍と烏賊の木の芽和え、よもぎ麩田楽、焼蒲鉾、鶏もも肉炭火焼、ぶり照焼、桜風味の胡麻豆腐、紅あずまと五色豆のサラダ、豚肉と焼き野菜の照焼ソース和え、黒豚メンチカツ。

 向付はカルパッチョ風カツオのタタキ、煮物には、筍と蕗の土佐煮と里芋を。
優しいお出汁で春の香りを丁寧に炊き上げました。

利き酒会には、主菜の太刀魚のソテートマトソースがけをお出ししました。
ふわふわの太刀魚をトマトソースとチーズで仕上げた、本日のお酒にぴったりな一品です。


 御食事には、筍の炊込みごはんと、鯛・若布・筍・木の芽の留椀を。
水菓子は桜餅、わらび餅、いちご。最後まで春をめいいっぱい感じていただく献立となりました。

落語を楽しむ

開口一番『ん廻し』柳家 さん光

 開口一番は、権太楼師匠のお弟子さん、二ツ目の柳家さん光さんにお勤めいただきました。
出囃子はぼんちかわいや。

前座時代はおじさんというユーモラスな高座名だったさん光さん。
甥っ子、姪っ子との微笑ましいエピソードで会場を温めます。

  演目は古典落語の「ん廻し」。『ん』がつく言葉をひとつ言うごとに田楽を1枚もらえる、というゲームを始めた男たちのお話。演目中の手品シーンでは、手ぬぐいを浮かせ、会場からは「おーっ」っという声が漏れました。

一席目『笠碁』柳家権太楼

柳家権太楼

 お酒を召し上がって頂きながら、本日の登場を主役を待ちます。会場の期待が高まったところで、いよいよお待ちかね、柳家権太楼師匠の登場です。

2013年には紫綬褒章を受賞された、落語界きっての実力者である権太楼師匠。
しかし、大御所特有のある種の威圧感のようなものはなく、穏やかで表情豊かな立ち振る舞いは、一瞬にして会場を虜にします。

柳家権太楼

 演目は笠碁。雨の降るある日、2人の男が囲碁に興じています。囲碁の「待った」をする・しないの口論がヒートアップし、過去の借金の話まで広がってしまい、とうとう一人が帰ってしまい・・・。 囲碁をテーマにした人情噺は、柳家派でよく演じられており、喧嘩しながらも離れられない人情の機微が鮮やかに描き出されています。美味しいお酒と、お料理、素晴らしい落語に触れ、会場は幸せな空気に包まれました。

〜仲入り〜

二席目『代書屋』柳家権太楼

柳家権太楼

 休憩を挟み、二席目が始まります。
 出囃子の「金比羅」が流れると、会場からは手拍子が起こりますが、「ここは民謡酒場じゃないんだから、手拍子はやめてよ」と師匠。
奥様との豪華客船での世界旅行のエピソードで会場は大爆笑。
和やかな笑いで、二席目の開幕です。

柳家権太楼

 演目は代書屋。柳家権太楼師匠の得意ネタです。
4代目桂米團治が、副業として一般代書人をしていた経験から創作した新作落語ですが、現在では古典落語のように愛される演目です。
代書屋を営む男のところに、履歴書の代書を依頼しにやって来たところからお話は始まります。

 履歴書作成のために経歴を尋ねるも、トンチンカンな回答ばかりする男とのやり取りを、リズムよく進めていきます。サゲはまさかの時事ネタ「出身小学校は森友学園」。

「こっからはお食事タイム、ちょうど今8:05くらいでしょう?」と師匠。ぴったりの時間配分に、感嘆の声が漏れました。

江戸伝統野菜を楽しむ

 本日のお野菜は、「のらぼう菜」。
今回も江戸東京野菜を紹介していただいたのはOme Farmの島田さん。
以前、東寄席でも登場したことのある一押しのお野菜です。

Ome Farm 島田さん

 のらぼう菜は、江戸初期には栽培されており、現在でもあきる野市やOme Farmの活動拠点、青梅市の特産品として愛されています。
かき菜とも呼ばれる、菜の花の柔らかい葉っぱで、収穫の仕方はブロッコリーに似ているそう。脇芽をどんどん収穫していく、生命力にあふれた、春の落語会にふさわしいお野菜です。

のらぼう菜の入ったお野菜セット

 のらぼう菜の入ったお野菜セットと、Ome Farmこだわりのはちみつの会場販売も。
大盛況となりました。

今回は、カラシマヨネーズで和えたものを、先付として皆様にお召し上がりいただきました。

お酒を楽しむ

 本日のお酒をご用意頂いたのは、初登場となります高知県の濱川酒店さん。明治三十六年に「濱の鶴酒造」として創業。平成三年に、本日お持ちいただいた新たなブランド「美丈夫」を立ち上げ、社名も現在の「濱川酒店」に変えられました。美丈夫とは「華のように薫が如ごとく雅に舞う麗人」という意味だそう。

お酒を楽しむ

 美しく、強く、そして優しく。美丈夫を醸す蔵として目指すのは「旨い酒を造る」という唯ひとつのこととし、そのために、することは限りなくある。そんなふうに考え酒造りに取り組んでいるそうです。
今回は、会場で本日お召し上がりいただいたお酒の販売も。
美味しいお酒と出会い、お土産に持ち帰ることができるのも、粋な大人の落語会「東寄席」ならではですね。

本日の日本酒

(写真右から)

美丈夫 吟醸 麗

辛口のスッキリした飲み口にほのかな甘み。
キレのある後味に、フレッシュな香りが特徴のお酒です。
すいすいと盃が進みます。

美丈夫 特別本醸造

冷やでは冴え冴えと涼しい風味。
お燗にすると、潜んでいた風味がゆるゆると立ち上って、おおらかで豊かな味わいに。
唇よりも温かなお酒を含んだ時の優しさとぬくもり。
そして広がる柔らかな旨味。温度を上げた際にも味わいが増す、冷や、燗、共に楽しめるお酒です。

美丈夫 純米大吟醸 舞

豊潤でふんわり柔らかい口当たりのお酒ですが、程良い酸味とキレの良い飲みで、こちらもお酒が進みます。
食中酒としての評価が高い、一段とグレードアップした美丈夫の定番酒です。

美丈夫 純米吟醸 純麗たまラベル

丁寧な造りの結果として出てくる控えめな吟醸香は、柑橘系。
キュンとした酸味と果実を連想させる爽やかさを持つ純米吟醸です。
米のふくらみや柔らかさを感じながらも、最後のキレ味は、シャープ。これぞ美丈夫、といえる定番酒です。

お楽しみ抽選会

お楽しみ抽選会

 最後は東寄席恒例の「お楽しみ抽選会」です。Ome Farmさんからはお野菜お届けセット、そして本日お酒を提供して頂いた濱川酒店さんからは、美丈夫グッズをプレゼントして頂きました。 演舞場からは歌舞伎座観劇チケットと、「演舞場発イベント」として同会場で開催された、「なでしこの踊り」に出演された新橋芸者衆の千社札を、権太楼師匠からはサイン色紙を頂きました。

本日の演目

 
 今回も満員御礼となりました、大盛況のうちに幕を閉じた『東寄席』。 次回は2018年4月23日(月)、「三遊亭右京 神田陽子 二人会」です!どうぞお楽しみに!

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