演舞場発 文化を遊ぶ 第十二回
なでしこの踊り 夏 2018
ご好評いただき九回目の開催となりました東京新橋組合とのコラボレーション企画、
新橋芸者衆 若手連中による「なでしこの踊り」。今回は「粋と艶が火花を散らす」と銘打ち、赤坂の若手芸者衆を迎えた特別企画をお送りしました。
新ばしと赤坂の花街は、客層も重なり、互いに比べられ、意識し合う間柄。
踊りの流派も違うふたつの街の若手芸者が二人ずつで、舞台を作ります。
新ばし出演芸者衆のご紹介
【新橋一組】秀千代さん、ぼたんさん
【新橋二組】七重さん、ちよ美さん
赤坂出演芸者衆のご紹介
【赤坂一組】真希さん、明日香さん
【赤坂二組】真由さん、こいくさん
【赤坂三組】さつきさん、いち晴さん
本日の特別会席
新橋の料亭の金田中の流れをくむ新橋演舞場の特別会席弁当をお楽しみ頂きました。
八寸は、イカと夏野菜の入ったほうれん草ごま塩だれ、玉子焼、膾のいくら添え、いぶりがっこのチーズ巻き、一口昆布。向付には鮪と鯛のお刺身を。多喜合わせには里芋、蒟蒻、
筍、蕗、野菜の信田煮、朝顔かまぼこが夏らしい彩りを添えます。
焼物は赤魚西京焼と海老湯葉巻に花蓮根を添えて。
御食事は、梅じゃこごはんに、留椀は枝豆新丈、若布、三つ葉、柚子を演舞場自慢のお出汁で。甘味は夏らしさいっぱいのマンゴープリンで締めくくります。
芸者衆による よもやま話と踊り解説
初日の7月18日は、東京新橋組合 金田中のご主人・岡副さんと、大きいお姐さん方による花柳界の歴史解説です。新橋花柳界からは小喜美姐さん、赤坂花柳界からは、芸者衆では初めてという旭日双光賞を受賞された名物芸者、育子姐さんにお越しいただきました。
江戸の花柳界の成り立ち、新橋・赤坂の特色などを解説していただきました。
2回目以降の回では、出演するなでしこ達によるお話です。それぞれの街の紹介や踊りの解説、芸者を志した理由、新橋・赤坂という街を選んだ理由など、ご本人についてのご紹介もお話しくださいました。
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芸者衆によるお着物の解説も、今宵は新ばしと赤坂の違いを教えて下さいます。新橋はちりめん浴衣、女方は片方しか襟を出さない。男役は前が割れた髪型です。
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一方、赤坂の浴衣の素材は絽、襟も絽のものをつけています。お着物や帯は大柄の華やかな柄が特徴です。「赤坂はなんでも派手なんです」とはにかみます。
演目の解説もさることながら、花柳界の歴史や芸者さんのことを知ることで、そのあとの踊りの楽しみ方も深まりますね。
なでしこの踊り
今回は赤坂さんを迎えての特別な踊りをご覧いただきました。
長唄「青すだれ(あやめ浴衣より)」
芸者とその恋人が隅田川で舟遊びをしている風情を涼しげに踊ります。
小唄「夏景色」
お江戸の初夏の風物詩、日枝神社の山王祭。その風情を歌った清元調の小唄です。
小唄「こうもり」
七代目市川團十郎が文政二年、大阪の芝居で人気を博し、江戸に帰るのを惜しんで作られた曲。こうもりは市川家の家紋です。
小唄「夕立の」
夕涼みのさなか突然の雷に蚊帳に逃れた二人。本来は男女で踊る曲ですが、今回は女方二人の振りで踊らせていただきます。
小唄「銀座懐古」
縁日で久し振りに出逢った幼馴染が、人力車、鉄道馬車、ガス燈など、明治の銀座を「変わりましたね」と懐かしむ様子を歌った曲です。
清元「六玉川・晒しの合方」
弘化三年頃、六本の多摩川の名に寄せて作られたました。本来は二本の長い晒しの布を使いますが、本日は二枚扇に変えて赤坂・新橋合同で踊ります。
俗曲「木遣りくずし」
鳶の衆の「木遣り」を三味線に乗せて歌いやすい俗曲にして、時代を超えて愛されている曲です。
お座敷遊び
なでしこの踊りのあとは、みなさまお待ちかね、芸者衆と楽しむお座敷遊び体験です。お客様の中から5名の方に、お座敷遊びの定番「虎けん」に参加して頂きました。
芸者衆との交流タイム
お座敷遊びのあとは、芸者衆が会場を回る交流タイムです。 記念写真を撮ったり、質問や踊りの感想をお話いただいたりと、思い思いに芸者衆とのふれあいの時間を楽しんでいらっしゃいました。
本日の演目で使用した曲のCDプレゼントじゃんけん大会なども行われ、最後は芸者衆とお姐さん方からのご挨拶と、手締めで締めくくりとなりました。