演舞場発 東寄席 第四十四回

演舞場発 東寄席 第四十四回 2018年10月30日(火)

 第四十四回 『落語と日本酒と伝統野菜を楽しむ会』にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。
『第四十四回 落語と日本酒と伝統野菜を楽しむ会in新橋演舞場』古今亭菊之丞

 日毎に寒気が加わり、秋の気配が色濃くなってまいりました。
五回目のご登壇となります、古今亭菊之丞師匠をお迎えして「東寄席」が開催されました。
菊之丞師匠は柳家さん喬師匠に次ぐご登壇回数で、初期の頃より「東寄席」を支えていただいております。
昨年二月には、第七十一回文化庁芸術祭優秀賞を受賞された、人気と実力を兼ね備えた噺家さんです。

 お食事は、新橋料亭街伝統の味を受け継ぐ演舞場の調理場でご用意させていただきました。
本日のお料理と共にお楽しみいただくお酒は、宮城県の内ヶ崎酒造店の鳳陽です。
それでは振り返りをご紹介いたします。

演舞場の味覚を楽しむ

本日の演舞場のお料理

 高座をお楽しみいただきながら、宮城県の銘酒、鳳陽とともに召し上がっていただく酒の肴膳は、新橋料亭街伝統の味を受け継ぐ演舞場の調理場でご用意させていただきました。

 先付けには、本日の江戸伝統野菜、後関晩生小松菜のお浸し。柔らく優しい歯ざわりです。
 八寸には、烏賊の塩辛大根おろし添え、まぐろの時雨煮、胡瓜と海月の中華風和え、玉子焼、サーモンマリネ、金平牛蒡。

 煮物は、それぞれの食材の食感を生かし丁寧に炊いた筑前煮、ブロッコリー。
向付はトラウトサーモン、鮪。
主菜は白身魚の塩麹焼きに花蓮根甘酢漬け、刻み野沢菜を添えて。
御飯は、焼きおにぎりを、演舞場自慢のお出汁で鮭茶漬けに。
生菓子は、練り切。秋らしい柿の意匠です。

落語を楽しむ

開口一番『たらちめ』古今亭まめ菊

 本日の開口一番をお勤めいただいたのは、菊之丞師匠の一番弟子、古今亭まめ菊さんです。
東寄席には、2度目のご登壇です。
愛らしい笑顔で会場を温めてくださいます。

 まめ菊さんの、よく通る特徴的なお声で、軽快に演じてくださったのは「たらちめ」。上方からもらった奥さんの言葉づかいがあまりにも丁寧で起る騒動を描いたドタバタ劇です。

一席目『火焔太鼓』古今亭菊之丞

古今亭菊之丞

 美味しいお酒と高座で会場がほっと温まってきたところで、本日の主役、古今亭菊之丞師匠の登場です。
「東寄席」にちなんで、最多出演の柳家さん喬師匠のお酒の席での裏話をお話しくださいます。
お酒の飲めない、さん喬師匠。「オレンジジュースを飲みながらメール打ってるんだよ」
と話すと会場は大盛り上がり。すっかりお客様の心を掴みました。

 演目は「火焔太鼓」。
商売下手の古道具屋、甚兵衛は、ある日古い太鼓を仕入れてきます。
「こんな汚い太鼓が売れるのか」と不満を漏らす妻ですが、たまたま通りかかった大名に、その音色が大変気に入られます。
後日、お屋敷に太鼓を持参すると、なんと三百両の値段で買い取ってもらえることに。
意気揚々と、三百両を手に帰宅する甚兵衛ですが...。

〜仲入り〜

二席目『幾代餅』古今亭菊之丞

 仲入りを挟み、衣装がえをした菊之丞師匠が登場されます。
歌舞伎座ギャラリーや、ここ新橋演舞場の東寄席と、銀座・新橋界隈で引っ張りだこの菊之丞師匠。
「品の良いお客様が多いから、上品なネタを...」と依頼されたことを明かした上で、「今日は女郎宿の話をします!」と宣言。

 日本橋馬喰町で奉公人をしている奉公人の清蔵は、幾代太夫という吉原の遊女の錦絵に一目惚れしてしまいます。奉公先の親方と「懸命に働き、貯金をしたら幾代太夫に会わせてやる」と約束した清蔵は、一年間みっちりと働き、約束を果たしてもらいます。

奉公人じゃあ格好がつかないからと、醤油問屋の若旦那と身分を偽り幾代太夫と初対面を果たしますが、「今度はいつきてくれるの」と聞かれた清蔵は、頻繁に遊郭には来れない奉公人という身分を明かしてしまいます...。

古今亭菊之丞

 遊郭を舞台にした、淡く切ない恋のお噺。
ハッピーエンドに会場からは、大きな拍手が起こりました。

江戸伝統野菜を楽しむ

OmeFarmの島田さん

 「寒くなってくると日本酒が美味しいですよね」と、本日の美味しいお酒にぴったりの江戸伝統野菜をご紹介いただいたのは、Ome Farmの島田さん。

 気温が下がってきて青菜がとても元気に育っています、と青梅の豊かな秋の情景をお話しくださいます。またカメムシが多いとその年は大雪が降るという豆知識も。

後関晩生小松菜


 本日お持ちいただいたのは、後関晩生小松菜。
江戸東京野菜の中で一番オーソドックスな青菜だそうです。
とても柔らかい食感に仕上げたこの小松菜は、オリーブオイル、塩、バルサミコを振って、生で食べると美味しい、とおすすめレシピを紹介すると、会場から感嘆の声が漏れ、嬉しそうな表情の島田さんです。

お野菜セット

 恒例のお野菜セット、はちみつの販売も大盛況となりました。

お酒を楽しむ

 高座をお楽しみいただいた後は、日本酒を楽しむ会です。
楽しい落語と美味しいお酒に酔いしれお客様同士の距離もぐっと縮まります。

お酒を楽しむ
内ヶ崎酒造店さん


 今宵のお酒をご用意いただいたのは、初お目見えとなります宮城県の内ヶ崎酒造店さん。
一六六一年(寛文元年)創業、宮城県内最古の蔵元さんです。また、英王室御用達の高級ワイン店「ベリー・ブラザーズ&ラッド」で初の日本酒として取り扱われるなど、世界的にも認められる酒造りをされています。

 代表の内ヶ崎さんにお越しいただき、お酒の解説をしていただきます。
私の性格に似たお酒を作ろう、ということで「入りは優しく、喉越し・キレが良く、飲み飽きしない酒」を目標に酒造りをされているとのこと。まさにそのお人柄を表すような味わいの4本をお持ちいただきました。

本日の日本酒

(写真右から)

大吟醸 鳳陽

酒米は美山錦を使用した、すっきりとした喉越しの良いお酒です。
キレの良さの中にも、ふくよかな香りが広がる優しい味わいです。

純米酒 鳳陽

酒米にまなむすめを使用した、柔らかさとふくよかさが際立つお酒です。
「ワイングラスで美味しい日本酒アワード2016」で金賞受賞。
今宵のお客様にもワイングラスでお召し上がりいただきました。

本醸造原酒 鳳陽秋あがり

夏を越してゆっくりと熟成され、美味しくなったお酒です。
コクがあり度数も強いのですが、不思議とするりと入ってくるお酒です。

特別純米酒 鳳陽源氏

英王室御用達の高級ワイン店「ベリー・ブラザーズ&ラッド」で初めて選ばれた日本酒の中の一本。
穏やかな香りとやわらかな味わいの、喉越しの良い特別純米酒です。

お酒を楽しむ

 会場での即売会もご用意いただき、こちらも好評を博しました。
全国の美味しいお酒との出会いも、東寄席の醍醐味ですね。

お楽しみ抽選会

  • お楽しみ抽選会
  • お楽しみ抽選会
  • お楽しみ抽選会
  • お楽しみ抽選会
  • お楽しみ抽選会
  • お楽しみ抽選会

 最後は東寄席恒例の「お楽しみ抽選会」です。
Ome Farmさんからは本日の伝統野菜やお届けお野菜セット、内ヶ崎酒造店さんからは、塗りの美しい八勺枡や珍しいデニム地の前掛け、Tシャツ、ロゴ入りのグラスなど。菊之丞師匠からはサイン入りポスターや色紙が送られました。
当選番号が読み上げられると、各テーブルから、わあっと喜びの声が上がります。

 今回も満員御礼となり、大盛況のうちに幕を閉じた『東寄席』。 次回は2018年11月29日(木)、「柳亭市馬独演会」です!どうぞお楽しみに!

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