演舞場発 東寄席 第四十五回 2018年11月29日(木)
第四十五回 『落語と日本酒と伝統野菜を楽しむ会』にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。
鮮やかな紅葉の季節となり、舗道に落葉が散る頃「東寄席」が開催されました。
今宵「東寄席」には二回目のご登壇となります柳亭市馬師匠を高座にお迎えして思う存分ご堪能いただきました。
お食事は、新橋料亭街伝統の味を受け継ぐ演舞場の調理場でご用意させていただきました。
本日のお料理と共にお楽しみいただくお酒は、神奈川県海老名市の泉橋酒造さんにご用意頂きました。
それでは振り返りをご紹介いたします。
演舞場の味覚を楽しむ
本日の演舞場のお料理
お酒と高座と共に楽しんでいただく、食欲の秋にぴったりの酒の肴膳は、
新橋料亭街伝統の味を受け継ぐ演舞場の調理場でご用意させていただきました。
先付けは本日の江戸伝統野菜、亀戸大根の田楽。
八寸には、ぶり大根、玉子焼、法蓮草の白和え、柿なます、豚ロース野菜巻き、ポテトフライ、オニオンリング。
煮物は木の葉南瓜、焼き湯葉、人参、蒟蒻、鴨ロース、ブロッコリー。
向付は鮪と鯛の演舞場風カルパッチョ。
主菜はマトウ鯛のソテートマトチリソース掛け。
御飯は、焼きおにぎり梅茶漬け。
水菓子は抹茶大福生クリーム。
落語を楽しむ
普段は三席でお送りしている東寄席。
今宵は特別に、市馬師匠の二席に加え、お弟子さん二名に高座をお勤めいただき、
合計四席、たっぷりと落語を楽しんでいただきました。
開口一番『手紙無筆』柳亭市松
本日の開口一番をお勤めいただいたのは、お弟子さんの柳亭市松さん。
九月に前座デビューされたばかりのフレッシュな噺家さんです。
読み書きができない「無筆」の主人公と、主人公に手紙を読むことを頼まれたご隠居との会話劇。実は無筆であるご隠居は、必死で誤魔化そうとしますが...。
一席目『武助馬』柳亭市童
次に登場されたのは、二つ目の柳亭市童さん。
演舞場にちなみ、お芝居を題材にした演目を披露していただきます。
人気役者に弟子入りしたものの、なかなか役が付かない主人公、武助。
初めて役を貰った、と喜んで馴染みの旦那に挨拶に行くが、その役はなんと馬の後ろ足。
人の良い旦那は、仲間を引き連れ観劇に訪れます。
「よっ!いいぞ、馬の後ろ足!」と半ばやけくそな掛け声をかけ、応援します。
二席目『掛取美智也』柳亭市馬
お酒も進みお客様の表情もほころびます。
お弟子さん二人の熱演で会場が温まったところで、みなさまお待ちかね、柳亭市馬師匠の登場です。
年の瀬が近づいてきた今宵。
「年を忘れるには少し早いですが...」と市馬師匠が選んだ演目は「掛取美智也」。江戸時代、年の暮れに近づくと、商売人たちはツケの回収に奔走します。
各所からツケを溜めてしまった主人公。
次々とやってくる借金取り。彼らの好きな狂歌、芝居、相撲などに合わせた形で撃退して行きます。
最後にやって来たのは「三橋の旦那」。
会場からは、わぁっと言う声が上がります。昭和歌謡歌手、三橋美智也のメドレーを歌うキャラクターで、「掛取美智也」としてファンの間では有名な、市馬師匠ならではの演目です。
素敵な歌声に、会場からは手拍子や拍手が鳴り響きます。流石、歌う噺家。大いに盛り上げていただきました。
〜仲入り〜
三席目『味噌蔵』柳亭市馬
仲入りを挟んで、お召し替えをした市馬師匠が登場します。
ケチにも色々言い方がありますが「六日知らず」という言い方の由来を教えてくださいます。
一日、二日、と指を折って数えていくと、五日で手を握る形になりますが、
けちは一度握ったら放せない。だから六日以上は数えられない、ということ。
粋な表現ですね。
演目は、そんなケチな主人公が登場する「味噌蔵」。
味噌屋の主人は、米が減るのが嫌で四十近くになる歳までお嫁さんをもらわずにいるほど倹約家。
そんな店主の留守中に羽目を外しすぎた従業員たちとの滑稽劇です。
江戸伝統野菜を楽しむ
美味しいお野菜を持ってきていただいたのは、
青梅市でオーガニックな野菜作りをしているOmeFarmの島田さん。
風邪を引いてしまったが、とれたての野菜を齧って治したとのこと。自然には不思議な力があります、とお野菜への愛情たっぷりにお話しくださいます。
今回の江戸東京伝統野菜は、亀戸大根。
亀戸周辺で盛んに作られていた、小ぶりな大根で、肉質が緻密でみずみずしい味わいの大根を、
今宵は先付けとして、田楽をお召し上がりいただきました。
江戸時代には、根も葉も一緒に浅漬けやぬか味噌漬けにして、
新鮮な野菜の少ない早春の青物として江戸市民から喜ばれたようです。
会場での即売会は、亀戸大根や、お野菜セット、
こちらも大好評の生ハチミツに加え、季節の柚子も。
リピーターのお客様も増え、大賑わいとなりました。
お酒を楽しむ
おすすめの酒蔵をご紹介くださったのは、
神奈川県・厚木市で日本酒専門店を営んでいる望月商店の望月さん。
今回ご紹介いただいたのは、同じく神奈川県の泉橋酒造さんです。
泉橋酒造さんは、神奈川県海老名市にある一八五七年(安政四年)創業の酒蔵で、
二十数年前からは酒米の栽培からお酒造りを行なっています。
夏はお米を作り秋に日本酒を作る、新しいスタイルです。
「食」の安心安全への思いを込め、
除草剤を抑えた田んぼで育つ赤とんぼをシンボルマークにしています。
(写真右から)
いづみ橋 大雪にごり活性 純米酒
ほのかに甘く発泡した飲みやすい味わいと可愛らしいパッケージでお土産にもぴったりです。
本日お召しあがりいただいたのは、瓶内二次発酵前とのことで、
お買い上げいただいたお客様は発酵後との違いをお楽しみいただけますね。
いづみ橋 青ラベル 恵 純米吟醸酒
お食事によく合うきりっとした純米吟醸酒です。
上品な旨味が、お料理の味を引き立てるいづみ橋の看板商品です。
いづみ橋 黒とんぼ 生・純米酒
生もと仕込みの、爽やかな酸味としっかりとした旨味のある酒です。
お出汁のきいたお料理にもぴったりです。
いづみ橋 秋とんぼ 楽風雅 純米吟醸酒
地元・栽培した楽風舞を使用しています。
ひと夏熟成させた、秋晴れのようなお酒です。
お楽しみ抽選会
最後は東寄席恒例の「お楽しみ抽選会」です。
OmeFarmさんからは、亀戸大根やお野菜セット、
演舞場からは今回の東寄席のサイン入りポスターや公演チケット、
泉橋酒造さんからは湯燗とっくりなど、豪華プレゼントに続々と当選していきます。
市馬師匠からは手ぬぐいやサイン入り色紙。
会場のあちこちから、一喜一憂の声が上がり、大盛り上がりの中、御開きとなりました。
今回も満員御礼となりました、大盛況のうちに幕を閉じた『東寄席』。
次回は2018年12月26日(水)、「風間杜夫独演会」です!どうぞお楽しみに!