演舞場発 東寄席 第四十六回 2018年12月26日(水)
第四十六回 『落語と日本酒と伝統野菜を楽しむ会』にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。
寒波の到来が冬本番をいやおうなしに感じさせてくれる今日この頃、「東寄席」が開催されました。
年末の東寄席恒例、風間杜夫さんをお招きしての開催を予定しておりましたが、
体調不良により急遽、柳家喬太郎師匠に代打として高座をお勤めいただきました。
本日の落語と共にお楽しみいただくお酒は、麒麟山酒造さんにお持ちいただきました。
酒の肴は新橋料亭街伝統の味を受け継ぐ演舞場の調理場でご用意しました。
それでは振り返りをご紹介いたします。
演舞場の味覚を楽しむ
本日の演舞場のお料理
高座をお楽しみいただきながら、お召し上がりいただくお膳は、新橋料亭街伝統の味を受け継ぐ演舞場の調理場でご用意させていただきました。酒の肴と料理の味を引き立てるお酒と共に楽しんでいただきます。
先付けには、本日の江戸伝統野菜のしんとり菜を柔らかな食感を活かしたおひたし。八寸には、お酒の進むちりめん山椒、ひじき田舎煮、玉子焼、豆腐とキノコの辛味噌和え、鳥ハラミ肉炭火焼、ブロッコリーサラダ 。
煮物には里芋、蒟蒻、人参、オクラ。向付にはサーモンとホタテの演舞場カルパッチョを。
主菜は、旬のメヌケの煮付けに法蓮草と焼き葱添えて。お食事には、茶そばのなめこ茸添え。
甘味には愛らしい干支饅頭をお召し上がりいただきました。
落語を楽しむ
開口一番『金明竹』柳家やなぎ
波乱の幕開けとなりました本日の開口一番をお勤めいただいたのは、柳家やなぎさん。柳家さん喬師匠のお弟子さんです。「生まれは新橋のちょっとお隣、北海道です」と、マクラからばっちりお客様の心を掴みます。演目は「金明竹」。
上方訛りに早口の場面では、滑らかな語り口を披露し、会場からは拍手が起こりました。
一席目『そば清』柳家喬太郎
割れんばかりの拍手で迎えられたのは、柳家喬太郎師匠です。第一声、「風間杜夫でございます。」と深々と頭を下げると会場からは更に大きな拍手と、わあっと歓声が上がります。
急遽代役を引き受けてくださった経緯をお話くださり「風間さんのファンはあったかいねえ、落語ファンは冷たいよ」と、冗談を交えつつ、風間杜夫さんやお集まりいただいたファンを気遣います。
そんな温かい空気の中始まったのは、「そば清」。
舞台は江戸の蕎麦屋。来るたびに十枚もの盛り蕎麦を食べる男が通ってきます。それを見て感心した常連客たちは、二十枚を完食できるか掛けを持ちかけます。実はこの男「そばっ食いの清兵衛」通称「そば清」として有名な大食い。金を取られ悔しくなった常連たちは「五十枚食べられたら一両」という大それた掛けを、そば清に申し入れます。
さて、流石に五十枚には自信を無くしたそば清は、あることを思い出します。
蕎麦の名所、信州に行った時のこと。隠れ家的名店を探し深い山奥に入っていく、そば清。
そこで出くわした蟒蛇が、一飲みにした人間を、赤い薬草を使って消化していたのです。
「なるほど、あの草は消化薬になるんだ」と、それを持ち帰ったそば清。盛りそば五十枚の掛けに挑みますが...。
〜仲入り〜
二席目『文七元結』柳家喬太郎
仲入りを挟んで、喬太郎師匠が選んだ演目は「文七元結」。
左官職人の長兵衛は、腕は立つものの博打好きが過ぎてしまい、借金まみれ。
ある日、長兵衛の娘お久は、父親の借金返済のために、自ら吉原に身を売ります。
献身的なお久に心を打たれた女郎屋の女将は、長兵衛を呼びつけ、
改心し一年以内に返済すると約束するならお久を店に出さない、という条件で五十両を貸してくれます。
娘に身売りまでさせてしまった情けなさと、改心してこれからは真面目に働こう、そしてお久を迎えに行こうと心に決め、帰路につく長兵衛でしたが、吾妻橋から身投げをしようとしている若者に出くわします。
聞けば、奉公先から集金した帰りに五十両を擦られてしまったことを申し訳なく思い、死んで詫びようというのです。ちょうど五十両持っている長兵衛は、思い悩みます。
歌舞伎でも演じられている人情噺の名作ですが、お話の長さや、滑稽さと情をバランスよく感じさせなければならない、とても難しい演目とも言われています。
今年最後に、渾身の落語を披露してくださった喬太郎師匠に、会場からは惜しみない拍手が送られました。
江戸伝統野菜を楽しむ
今宵も、江戸東京野菜コンシェルジュの資格を持つOmeFarmの島田さんが、美味しいお野菜をご紹介くださいました。
年の瀬ということもあり「色々な方との繋がりがあってここまでこれました、ありがとうございます」と、今年一年のお礼とご挨拶から始まります。会場からは温かい拍手がおこりました。
今回のお野菜は、しんとり菜。白菜の外っ葉を掻いて芯の柔らかいところだけをいただく、なんとも贅沢な伝統野菜です。今宵はおひたしでお召し上がりいただきました。お鍋に入れたり生のままサラダにするのもおすすめとの事。
しんとり菜や、旬のお野菜を詰め合わせたお野菜セットの即売会も回を重ねるごとに大変な賑わいを見せています。
お酒を楽しむ
三回目のご紹介となります新潟県の麒麟山酒造さんにお越しいただき、今宵の美味しいお酒をご用意いただきました。麒麟山酒造は「地酒を醸す酒蔵」という信念の元、地元の米や水を原料とし、その気候の中、その土地の蔵人によって醸され、そして何よりもその土地の人たちが日々の生活の一部として慣れ親しみ、飲んでいただけるお酒づくりを行なっています。
本日、みなさまにお召し上がりいただいた四種のお酒の解説を、代表の斎藤さんがしてくださいます。
(写真右から)
麒麟山 純米吟醸辛口 冷酒
淡麗で、キリッとした中に広がる旨味を楽しめる一本。
本日は、冷酒とぬる燗の二種類の温度の違いをお楽しみいただきました。
麒麟山 純米吟醸辛口 ぬる燗
瓶ごと豪快にお燗にしてご提供。この飲み方は、酒蔵ではよく行うのだそう。
より旨味と香りが際立ちます。
ぽたりぽたりきりんざん 五百万石 純米吟醸原酒
原酒のどっしりとした力強さの中に、ふくよかな香りとフレッシュさを感じられるお酒です。
麒麟山 伝統辛口
何杯飲んでも飽きのこない、麒麟山のフラッグシップ的存在のお酒です。
キリッとした飲み口はが、お料理との相性も抜群です。
お楽しみ抽選会
最後は東寄席恒例の「お楽しみ抽選会」です。OmeFarmさんからは、しんとり菜や、お届けお野菜セット、
演舞場からは小瓶の日本酒を3本セットでプレゼント。麒麟山酒造さんからはフェイスパック、Tシャツやデニム地の前掛けが贈られました。
残念ながら出演できなかった風間杜夫さんからは、Tシャツ、うちわ、千社札。
本日、最高の代打をお勤めいただいた柳家喬太郎師匠からはサイン色紙を。
この度「風間杜夫独演会」を楽しみにしてくださっていたお客様各位に深くお詫び申し上げます。
しかしながら、代役を勤めていただいた柳家喬太郎師匠や、ご尽力いただいた皆様、何より温かく受け入れてくださったお客様のおかげで、今年最後の東寄席は大盛況のうちに幕を閉じました。
心から感謝申し上げます。来年も年の瀬に「風間杜夫独演会」を開催予定ですので、どうぞご期待ください!
▲ご来場いただいたお客様へ、風間杜夫さんからメッセージとお詫びのミニギフト。
次回、東寄席は2018年1月29日(火)、「春風亭一之輔独演会」です!どうぞお楽しみに!