演舞場発 東寄席 第四十七回 2019年1月29日(火)
第四十七回 『落語と日本酒と伝統野菜を楽しむ会』にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。
大寒を迎え、いよいよ冬将軍の到来。「東寄席」が開催されました。
今宵「東寄席」には四回目のご登壇となります春風亭一之輔師匠を高座にお迎えして思う存分ご堪能いただきました。
お食事は、新橋料亭街伝統の味を受け継ぐ演舞場の調理場でご用意させていただきました。
本日のお料理と共にお楽しみいただくお酒は、福島・喜多方の夢心酒造さんの「奈良萬」です。
それでは振り返りをご紹介いたします。
演舞場の味覚を楽しむ
本日の演舞場のお料理
高座と日本酒を楽しみながらお召し上がりいただくお料理は、新橋料亭街伝統の味を受け継ぐ演舞場の調理場でご用意させていただきました。
先付けには、本日の江戸伝統野菜、柔らかな後関晩生小松菜の煮浸し。
八寸は、筍の土佐煮、いかの塩辛おろし、海月膾、黄金団子、甘海老甘露煮、法蓮草の胡麻和え、香ばしい香りと食感がお酒を誘う、鳥もも肉の炭火焼。煮物は、筍、がんも、里芋、花人参、ブロッコリーをそれぞれの食材に合わせて炊きました。向付は、今が旬の鰆のたたき、信州サーモン。
日本酒を楽しむ会でお召し上がりいただく主菜は、メバルの塩焼き、花蓮根甘酢漬け、芝漬け添え。
優しい味わいの白身は、今宵のお酒にぴったりです。
ご飯は、可愛らしい霰をあしらった焼きおにぎりの梅茶漬け。
水菓子は、杏仁豆腐 フルーツミックス入りでさっぱりと締めていただきました。
松飾りもとれ暫くたちますが、二〇一九年最初の東寄席らしい華やかな御膳となりました。
落語を楽しむ
開口一番『からぬけ』春風亭いっ休
本日の開口一番をお勤めいただいたのは、春風亭いっ休さん。一之輔師匠の三番弟子です。いっ休さんというお名前にぴったりな愛らしい風貌に、会場からは温かい笑顔がこぼれます。
演目はからぬけ。二人の男がなぞなぞの掛けを始めますが、「大きくてツノが生えていてモーっと鳴くもの」など、簡単にわかってしまうものばかり出題する与太郎という男。
拍子抜けする相手をよそに、大金をかけ「つかむとぬるぬるするものは...」というお題を出します。
「アナゴでからぬけ」とも呼ばれる滑稽劇を、軽快な語り口で演じ、開口一番のお役目をしっかりと果たしてくださいました。
一席目『短命』春風亭一之輔
美味しいお酒とお弟子さんの高座で、心身ともにお客様が温まってきたところで、本日の主役、春風亭一之輔師匠の登場です。大きな拍手で迎えられた一之輔師匠は、持ち前の取り繕わない様子で、ゆらりとお話を始めます。
「この寄席のお客様はご陽気で、よく笑ってくださいますね」と、お酒やお正月にまつわる寄席のエピソードで、笑いを誘います。
「落語ってのは、だいたい訳の分からない人間が出てきまして...」と始めるのは「短命」。
婿が次々と亡くなってしまう質屋の娘について、噂話を始める植木屋の男とご隠居。どうして皆早く死んでしまうのか、と首をかしげる二人。三人目の亭主を亡くした質屋の娘は齢三十三の女盛り、色の白い美人だという。
ピンときたご隠居は、おかみさんはふるいつきたくなるような、いい女なのが短命の理由だ、と、言葉を濁しながら言いますが、勘の悪い植木屋にはなかなか伝わりません。
火曜サスペンスのテーマ曲や蕎麦アレルギーなど、現代風のアレンジを加えてお客様を大いに楽しませてくださいました。
〜仲入り〜
二席目『夢金』春風亭一之輔
仲入りでお酒や談笑を楽しんでいただいた後、お囃子が流れ出すとお客様から期待のこもった手拍子が起こります。
「普通の寄席ってのは、こんな楽しいものじゃないですよ」と、会場を盛り上げる一之輔師匠。
人情話は冬を舞台にしたものが多いですねと、古典落語「芝浜」をちょっと捻くれた解釈を交えつつ、楽しませるマクラは流石です。
「ひゃくりょうぉ〜、欲しい〜....」とハリのある声で始まった演目は冬の大川、現在の隅田川を舞台にした「夢金」です。
大雪の降るある日の夜、船宿に訪れた二人の男女。深川まで船を出してくれないかと頼みます。
兄妹だと言うその二人。実は娘の方は大店から駆け落ちしてきた娘と、その娘を騙そうとしている男でした。
そんな事とはつゆ知らず、高い報酬につられて船を漕ぎ出した船頭。
「欲深き人の心と降る雪は積もるにつけて道を忘るる」と、冒頭で登場した狂歌を連想させるサゲで幕を閉じます。
雪の冷たさや大川の風景、船頭の息遣いまで感じさせる語りで、お客様を落語の世界へ引き込み、圧巻の一席となりました。
江戸伝統野菜を楽しむ
今宵も美味しい江戸伝統野菜を届けてくれたのは、Ome Farmの島田さんです。全く雨の降らない毎日と冬の寒さで、青梅の畑には作物がないとのこと。
その影響もあり、毎回好評を博しているお野菜即売会はありません、とアナウンスされると、お客様からは「ええ〜...」と残念そうなため息が漏れます。落語だけではなく、お野菜を楽しみにいらしているお客様が増えてきた事が伺えます。
そんな作物の少ない中、ご尽力くださり提供していただいたのは、後関晩生小松菜。現在流通している、掛け合わされた小松菜とは全く違い、柔らかく筋張らない食感が特徴です。
今宵は、とろける食感をお楽しみいただける煮浸しをお召し上がりいただきました。
お酒を楽しむ
今宵のお酒を提供していただいた夢心酒造さんを紹介してくれるのは、神奈川県厚木市でお店を営み100周年を迎える望月酒店さん。
「地酒と落語はよく似ています。ぜひ多くの方に魅力を知ってほしいです。」と挨拶されると、会場からは、温かい拍手がおこります。
続いて夢心酒造さんが、お酒の解説をしてくださいます。
奈良萬はご飯と合わせて美味しい助演男優賞なお酒です。
もしお席でお酒が余っていたら、お隣同士皆さんでシェアして飲んでくださいね、と、お酒への愛情を感じるコメントで締めていただきました。
(写真左から)
奈良萬 純米 中垂れ 生
爽やかさの中に、生原酒ならではの旨味が広がります。
雑誌dancyuに掲載されました。
奈良萬 純米
キリッとした奈良萬の定番商品です。
こちらもdancyuで「お鍋に合う日本酒」として紹介されました。
奈良萬 おりがらみ 純米 生
お米の旨味を強く感じる白濁したお酒です。
奈良萬 酒未来 純米吟醸 生
奈良萬の中でも希少なお酒。高島屋で3日で売り切れた実績があります。
お楽しみ抽選会
最後は東寄席恒例の「お楽しみ抽選会」です。
Ome Farmさんからは沖縄島人参と、4月以降、春の息吹を感じることにお届けするお野菜セットを。
演舞場からはサイン入りポスターと、公演ペアチケット。
夢心酒造さんからはオリジナルのTシャツ、一之輔師匠からは、サイン式紙が送られました。
今回も満員御礼となりました、大盛況のうちに幕を閉じた『東寄席』。
次回は2019年2月28日(木)、「古今亭文菊 独演会」です!どうぞお楽しみに!