演舞場発 東寄席 第六十回 2019年8月29日(木)
第六十回東寄席、『落語と地ビール&日本酒と伝統野菜を楽しむ会』にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。
昨日は九州地方にて豪雨、東京でも小雨がありましたが、今宵は快晴の夜となりました。
節目の回にはいつもお迎えします、柳家さん喬師匠に高座をお勤めいただきました。
お料理と共にお楽しみいただいたお酒は、四回目のご紹介、神奈川の熊澤酒造さん。
それでは振り返りをご紹介いたします。
演舞場の味覚を楽しむ
本日の演舞場のお料理
高座と日本酒を楽しみながらお召し上がりいただくお料理は、新橋料亭街伝統の味を受け継ぐ演舞場の調理場でご用意させていただきました。
先付けには、寺島なすのオランダ煮。
八寸には、牛すじ煮込み、白身真丈の変わり揚、玉子焼、花蓮根甘酢漬に菊花なます、秋刀魚のわた焼、茄子の甘酢和え、海老芝煮、金平牛蒡の肉巻き、夏野菜のゼリー寄せ。
向付は鮪と鯛と甘海老の刺身をご用意しました。
主菜は黒むつの西京焼に牛時雨煮と一口昆布を添えて。
浅利の炊き込みごはんと枝豆真丈、板麩、三つ葉、柚子の吸い物のあとには、葛餅のアソートをお召し上がりいただきました。
落語を楽しむ
開口一番『桃太郎』金原亭乃ゝ香
本日の開口一番をお勤めいただいたのは金原亭世之介師匠のお弟子さん、金原亭乃ゝ香さん。
澄んだ良く通るお声で披露していただいた演目は『桃太郎』。
子を寝かしつけようとする父親ですが、理屈を衒った息子に反対に寝かしつけられてしまうという滑稽噺。
中性的な声が、現代風にアレンジされた金坊の捻くれ具合を巧みに表現します。
一席目『ちりとてちん』柳家さん喬
大きな拍手とともに本日の主役、柳家さん喬師匠のご登場です。
まだまだ暑い日が続きますが、どこか秋の気配も漂ってきたと世間話をはじめるさん喬師匠。別段、可笑しなことを仰るわけでもないのに、いつのまにやら可笑しみが会場に充ち満ち笑いが溢れ始めたのは流石の名人芸。「間」と「抑揚」だけで感情を動かせる——まさに落語の真髄とも言える手腕を世間話の中でも披露いただきました。
一席目は『ちりとてちん』。原型は江戸落語の『酢豆腐』ですが、上方落語の『ちりとてちん』のほうが馴染みがあるかもしれません。さん喬師匠も『ちりとてちん』としてご披露くださいました。
〜仲入り〜
二席目『唐茄子屋政談』柳家さん喬
仲入りをはさみ、ふたたびの万雷の拍手とともにご登壇されたさん喬師匠。
墨田区は本所がご出身のさん喬師匠が語る幼少期の思い出話は風情豊かで、その後に披露された『唐茄子屋政談』の雰囲気へと自然に導かれます。
しっとりと始まった『唐茄子屋政談』。
道楽が過ぎ勘当された商家の若旦那が吾妻橋からの身投げを考えるところから始まります。それを偶然引き止めたのが八百屋である若旦那の叔父。商いを手伝わせることで改心させようと、かぼちゃの異称——唐茄子——の詰まった天秤棒を担がせますが……。
枕でかつての東京の情景を、それをあしつぎに江戸の情景を。客席はすっかり『唐茄子屋政談』の風情に包まれます。
最後には自然と温かな、それでいて熱っぽい拍手が会場から溢れました。
江戸伝統野菜を楽しむ
本日も、江戸東京野菜コンシェルジュの資格を持つOmeFarmの島田さんが、美味しいお野菜をご紹介くださいました。
本日の伝統野菜は江戸伝統野菜の代表格、寺島なす。
オランダ煮として、先付けにご提供いたしました。
東寄席では何度かご紹介している寺島なすですが、他ではなかなか食べられない稀少な野菜であることをあらためてご説明いただきました。
お酒を楽しむ
今宵のお酒を提供していただいた熊澤酒造さんをご紹介いただいたのは、神奈川県厚木市でお店を営む望月酒店さん。
はじめに、さん喬師匠による珠玉の人情話のすぐ後であることから、その名残で胸がいっぱいだとお話されます。ご自身も落語ファンであることから、名人芸の余韻に浸りつつ、少しだけ耳を傾けて頂ければ、と粋なご配慮をしてくださいました。
そんな望月酒店さんにお話しいただいた熊澤酒造さんは、東寄席では四回目のご紹介。
明治五年創業の、湘南に残された唯一の蔵元さんです。
(写真右から)
湘南ビール 江の島 アルトビール
上品な甘みと繊細さが料理を引き立てます。
天青 風露 特別本醸造
すっきりとした辛口の特別本醸造。
天青 千峰 純米吟醸
旨味が広がる、コクとキレを併せ持った純米吟醸。
天青 吟望 特別純米
おだやかな香りとふくらみのある味わいが季節を問わず楽しめる特別純米。
お楽しみ抽選会
最後は東寄席恒例の「お楽しみ抽選会」です。
演舞場からは柳家さん喬師匠のサイン入りポスターと歌舞伎の観劇チケットなど。OmeFarmさんからは本日の伝統野菜「寺島なす」とお届けお野菜のセット。熊澤酒造さんからはオリジナルの前掛けやTシャツ。そしてさん喬師匠からは四種の美しい色紙をご提供いただきました。
今回も満員御礼、大盛況のうちに幕を閉じた「東寄席」。
今回も満員御礼、大盛況のうちに幕を閉じた『東寄席』。
次回は
2019年9月29日(日)「月亭方正独演会」
2019年9月30日(月)「柳亭市馬独演会」
です!どうぞお楽しみに!