演舞場発 東寄席 第六十一回

演舞場発 東寄席 第六十一回 2019年9月29日(日)

第六十一回『落語と日本ワインと伝統野菜を楽しむ会』にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。

『第六十一回 落語と日本ワインと伝統野菜を楽しむ会in新橋演舞場』月亭方正独演会

十月を前にして、連日残暑の厳しい日中が続いています。
九月は各地で台風の被害が深刻で、依然落ち着かない天候が続きますが、幸い今宵は晴れました。

今回、東寄席には独演会としては初めて高座に上方の落語家をお迎えしました。月亭方正さんです。
お料理と共にお楽しみいただいたお酒は、98Winesさんの日本ワイン。
それでは振り返りをご紹介いたします。

演舞場の味覚を楽しむ

本日の演舞場のお料理

高座と日本酒を楽しみながらお召し上がりいただくお料理は、新橋料亭街伝統の味を受け継ぐ演舞場の調理場でご用意させていただきました。

先付けには、冬瓜の鶏そぼろ餡かけ。

八寸には、季節野菜のゼリー寄せ、ほうれん草の胡麻和え、牛すき煮風、紅生姜真丈串刺し、茄子と印元の味噌和え、玉子焼き、鶏皮餃子揚。
煮物に一口がんも、蒟蒻、筍、牛蒡、ブロッコリー、花人参。
向付は鮪と帆立の焼霜の刺身をご用意しました。

主菜は銀ダラの塩麹焼にきのこの銀餡掛け。

浅利の炊き込みごはんと菊花真丈、板麩、三つ葉、柚子の吸い物のあとには、黒糖クリーム入りわらび餅をお召し上がりいただきました。

落語を楽しむ

開口一番『権兵衛狸』立川らくぼ

本日の開口一番をお勤めいただいたのは立川志らく師匠のお弟子さん、立川らくぼさん。

志らく師匠からの命名の経緯や、ここ新橋演舞場地下食堂「東」のことなど、バラエティに富んだ枕の後に披露していただいたのは近年、上方でも演じられる小品『権兵衛狸』。
百姓のかたわら髪結床を営む権兵衛と、悪戯狸のやりとりが可笑しく描かれます。
童話の風情を帯びたほのぼのとした噺で会場の空気をやわらげてくださいました。

一席目『看板のピン』月亭方正

はじめに述べたとおり、独演会としては初めて高座に上方の落語家をお迎えしました。
東寄席の新たなことへのチャレンジとして、白羽の矢を立てさせて頂いたのが月亭方正さんです。

お笑い芸人として長く活躍される方正さんが、四〇歳の時、残りの人生をかけて噺家になると決めた思いや、それに際して「山崎邦正」の看板を潔く捨てた心意気に感じ入るものがあり、そうしたことが高座にお迎えする理由となりました。

東京ではまだ噺家としての知名度はあまりありませんが、「笑い」を職業とされてのキャリアと知名度は十二分な方正さん。根多に入る前のお話ですでに会場は抱腹絶倒、すっかり場を自分のものにされていました。

一席目にご披露いただいたのは古典落語の演目『看板のピン』。
堅気ではない癖のある登場人物を、天性の愛嬌を交えて巧みに演じてくださいました。

〜仲入り〜

二席目『しじみ売り』月亭方正

二席目『しじみ売り』月亭方正

仲入りをはさみ、万雷の拍手とともにご登壇された方正さん。

自身のお子様の話を枕に披露された二席目は『しじみ売り』。
古典の代表的な人情噺です。もともと上方には人情噺の演じ手がいなかったらしいのですが、近年では東京の人情噺を積極的に移植しているとのこと。

この噺は、東京では鼠小僧次郎吉が登場しますが、上方では、匿名の「親方」に代わります。もちろん方正さんもその形でご披露くださいました。

しじみ売りの子供のイノセンスを見事に感じさせるはじまりから、人生に揉まれてきた親方の深みへ。見事な演じ分けと目に浮かぶ雪景色に、会場からはあたたかい拍手が溢れました。

江戸伝統野菜を楽しむ

本日も、江戸東京野菜コンシェルジュの資格を持つOmeFarmの島田さんが、美味しいお野菜をご紹介くださいました。

本日の伝統野菜は冬瓜。
冬の瓜と書きますが、旬は夏。うまく保存すれば冬までもつことからその名が着いたとのこと。原産地はインドといわれていますが、平安時代の書物に記載があることから、日本でもたいへん長く親しまれてきた野菜です。

鶏そぼろの餡をかけ、先付けとしてお召し上がりいただきました。

お酒を楽しむ

  • 麒麟山酒造さん
  • 麒麟山酒造さん

今宵のお酒を提供していただいた98winesさんをご紹介いただいたのは、神奈川県厚木市でお店を営む望月酒店さん。

98winesは創業からまだ二年目、本日提供されたワインが初の出荷品とのことでしたが、醸造家の平山繁之さんは30年を超えるキャリアを持ち、国内のワイナリーで技術指導もされてきた方です。
満を持して作られた『TANE』は選ばれた場所でしか購入できない希少なものとのことでした。

本日の日本酒

(写真右から)

TANE 霜 SOU 白

柑橘の香りにスモーキーな味わいを含む辛口の白。

TANE 芒 NOGI 赤

マスカット・ベーリーAの可能性を探った赤ワイン。

TANE 芒 NOGI 白

柑橘の香りと上品な苦味の白。

お楽しみ抽選会

最後は東寄席恒例の「お楽しみ抽選会」です。
演舞場からは月亭方正さんのサイン入りポスター。OmeFarmさんからは本日の伝統野菜「冬瓜」とお届けお野菜のセット。98winesさんからはこだわりの日本ワイン。そして月亭方正さんからはサイン色紙をご提供いただきました。

  • 月亭方正さんのサイン入りポスター
  • 月亭方正さんからはサイン色紙

今回も満員御礼、大盛況のうちに幕を閉じた『東寄席』。
次回は
2019年10月22日(火)、「立川こはる・林家つる子 二人会」
2019年10月31日(木)、「桃月庵白酒独演会」
です!どうぞお楽しみに!

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