演舞場発 東寄席 第七十一回 2020年2月24日(月)
第七十一回東寄席、『落語と日本酒と有機無農薬野菜を楽しむ会』にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。
平年よりもすいぶん早い桜の開花予想が発表され、今宵もまたあたたかな夜となりました。
東寄席第七十一回は、新たな取り組みである『今、注目の二ツ目』二人会の第二回。
昨年解散した二ツ目人気ユニット「成金」のメンバーから、今年五月の真打昇進が決まっている瀧川鯉八さん、同じく元「成金」メンバーの桂宮治さんのお二人にご登壇いただきました。
お料理と共にお楽しみいただいたお酒は、宮城県の酒蔵である一ノ蔵さん。
それでは振り返りをご紹介いたします。
演舞場の味覚を楽しむ
本日の演舞場のお料理
高座と日本酒を楽しみながらお召し上がりいただくお料理は、新橋料亭街伝統の味を受け継ぐ演舞場の調理場でご用意させていただきました。
先付けには、ケールと豚タン下肉炒め。
八寸には、玉子焼、明太ばら子、紅生姜入りつくねの串刺し、ホッケフライ、ピーマンの肉詰め、オクラと昆布の旨塩だれ和え、そして牛バラ肉・揚げ豆腐・白菜を用いた演舞場風牛すき煮。
煮物に、蒟蒻、里芋、筍、オクラ、花人参。
向付は鮪の刺身と帆立の焼霜をご用意しました。
主菜は鮭のハラス塩焼きに牛肉の時雨煮を添えたもの。
かつおと生姜と昆布のふりかけの焼きおにぎり茶漬けのあとには、抹茶わらび餅とミニ大福をお召し上がりいただきました。
落語を楽しむ
一席目『権助魚』桂宮治
一席目にご登壇いただいたのは、桂伸治師匠のお弟子さんである桂宮治さん。
「次代の爆笑王」と噂される大人気の噺家さんです。
明るい人柄と笑顔で場を盛り上げてくださった後にご披露いただいた演目は『権助魚』。
旦那の浮気に勘付いたおかみさんが奉公人の権助を呼び出し、一円を餌にスパイを命じます。
夫婦のすったもんだ、お金。まくらでたっぷりとお話し頂いた芸能の話題が色濃く反映された滑稽話ですが、「権助」の名前にかけた(カルロス・)ゴーン氏の事件にまつわるくすぐりに客席は思わず大爆笑となりました。
二席目『やぶのなか』瀧川鯉八
二席目にご登壇いただいたのは、瀧川鯉昇師匠のお弟子さんである瀧川鯉八さん。
新作落語の申し子ともいわれる鯉八さん、独特の語り口であっという間に場を独自の色に染め上げます。
ご披露いただいた演目は『やぶのなか』。もちろん、ご自身による創作です。
まくらで、落語における優れた三つの理論をご紹介くださいましたが、その中のひとつが、桂歌丸師匠がおっしゃった「落語とは会話の妙である」。『やぶのなか』は、その言葉に「反旗を翻すような落語」とご自身でお話しされましたが、それも頷ける実験的な創作でした。
落語には言葉を用いない優れた場面転換の技術がありますが、古くから備わっているそうした技術の可能性をさらに追求した話芸と、『やぶのなか』という表題の妙にたいへん感心いたしました。
〜仲入り〜
三席目『七段目』桂宮治
仲入りをはさみ、大きな拍手の中、再度ご登壇いただいたのは桂宮治さん。
本日のお酒をご提供いただいた一ノ蔵さんのお話、お芝居のお話と続いた後、せっかくここ新橋演舞場という場所で演じるのだから、と歌舞伎狂いの若旦那が主役の演目『七段目』をご披露いただきました。
過去に演劇を学んでいたというご自身の出自を生かしたドタバタに客席からは手を叩いての笑い声も。その熱演に「次代の爆笑王」と噂される所以を知りました。
江戸伝統野菜を楽しむ
本日も、江戸東京野菜コンシェルジュの資格を持つOmeFarmの島田さんが、美味しい有機無農薬野菜をご紹介くださいました。
本日の野菜はケール。
地中海沿岸が原産とされ、キャベツの原種とされる野菜です。
OmeFarmが最も力を入れている野菜がこのケールだそうで、そのままでも、スープにしても、肉料理と合わせても、とその万能ぶりを大絶賛。
本日は、先付けとして豚タン下肉炒めとあわせてご提供いたしました。
お酒を楽しむ
今宵のお酒を提供していただいたのは、宮城の酒蔵である一ノ蔵さん。
今年で二十周年を迎えるスパークリング清酒のパイオニア「すず音」をはじめ、多くの有名な銘柄を取り扱う酒蔵さんです。
伝統を守ること、お客さんに満足していただくこと、そして地域振興につなげること。本日は、そうしたモットーを堅実に守っていらっしゃることがわかるラインナップをご提供いただきました。
(写真右から)
発泡清酒 すず音 GALA
穏やかな香りと落ち着きのある酸味の発泡清酒。
一ノ蔵 特別純米生原酒 立春朝搾り
二月四日の立春に届ける貴重な限定酒。本日は特別にご提供いただきました。
一ノ蔵 純米大吟醸酒 松山天
華やいだ吟醸香の純米大吟醸。甘みと酸味が調和した逸品。
一ノ蔵 特別純米原酒 未来につなぐバトン
東日本大震災の被災地の子どもたちへの基金につながる特別純米原酒。
お楽しみ抽選会
最後は東寄席恒例の「お楽しみ抽選会」です。
演舞場からは瀧川鯉八さん、桂宮治さんのサイン入りポスター。OmeFarmさんからはお届けお野菜のセット。一ノ蔵さんからはTシャツに前掛け、さらにはお酒を。そして鯉八さん、宮治さんのお二人からは素敵な色紙をご提供いただきました。
今回も満員御礼、大盛況のうちに幕を閉じた『東寄席』。
次回もどうぞお楽しみに!