演舞場発 東寄席 第五十三回 2019年5月29日(水)
第五十三回『落語と日本酒と伝統野菜を楽しむ会』にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。
今宵の「東寄席」は元号が改まり初めての開催となりました。
令和最初の記念すべき回の高座にお迎えしたのは、柳家権太楼師匠。
お食事は、新橋料亭街伝統の味を受け継ぐ演舞場の調理場でご用意させていただきました。お料理と共にお楽しみいただいたお酒は、「東寄席」三回目のご紹介、東京は青梅の小澤酒造さん。
それでは振り返りをご紹介いたします。
演舞場の味覚を楽しむ
本日の演舞場のお料理
高座と日本酒を楽しみながらお召し上がりいただくお料理は、新橋料亭街伝統の味を受け継ぐ演舞場の調理場でご用意させていただきました。
先付けには、本日の伝統野菜スナップエンドウの落花生和え。
八寸には、鴨ロース西京焼き、一口昆布、蕗と筍の湯葉の煮浸し、しゅうまい、花蓮根甘酢漬け、紅生姜入りすり身団子に玉子焼、海老真丈かわり揚、梅しそ竜田揚、さらには揚げ長芋と牛時雨煮、青唐。
煮物に、皮つき小粒じゃが芋、人参、鶏モモ肉、玉ねぎ、絹さや。
向付は鮪と鯛の刺身をご用意しました。
主菜は黒むつの塩麹焼に、きゃら蕗と酢取りの茗荷を添えて。
あさりの炊込みごはん、枝豆真丈、板麩と三つ葉と柚子の吸い物の後には、さくらの風味を生かしたジェラートをお召し上がりいただきました。
落語を楽しむ
開口一番『狸札』柳家さん光
本日の開口一番をお勤めいただいたのは柳家さん光さん。権太楼師匠のお弟子さんです。
自虐交じりのエピソードで笑いを誘った後、披露いただいた演目は『狸札』。
子供にいじめられていた子狸が、助けてくれた男のもとへと恩返しに。優しいながらもぶっきらぼうな男は、礼などいらないと子狸を追い返しますが、子狸にはすごすごと引き下がるわけにはいかない理由がある。仕方がない、とその夜は子狸を家に泊めてやる男ですが、翌朝、子狸の特技を知ると目の色が変わります……。
明るくよく通る声で演じられた子狸は愛嬌たっぷり。終始愉快な雰囲気で会場を包み込み、会場を温めて頂きました。
一席目『火焔太鼓』柳家権太楼
万雷の拍手に包まれ登壇された権太楼師匠。開口一番、直前の出演だった弟子のさん光さんをネタにひと笑い。師弟関係の良さが垣間見えます。
たっぷりの枕の後、披露された一席目は『火焔太鼓』。
主な登場人物は呑気な古道具屋の男と気の強いその女房。男が仕入れた古く汚い太鼓が思いがけず高額で売れてしまうという噺です。
もともとは小噺だったものが歴代の落語家によってふくらまされ、現在の形となった演目。それだけにあらすじは至ってシンプルですが、細かなところで魅せる芸なくして扱えない演目です。
令和最初の記念すべき回とあってか、権太楼師匠はそんな『火焔太鼓』をたっぷりの笑いとともに予定時間を大幅に超えて披露してくださいました。
〜仲入り〜
二席目『鼠穴』柳家権太楼
仲入りを終え、ふたたびの大きな拍手の中、登壇された権太楼師匠。拍手が止むと、一息おいて「『火焔太鼓』で疲れちゃった」とポツリ。
これには、大きな笑いと一席目の熱演を讃えての拍手が会場から溢れます。
そうは言いつつ、サービス精神旺盛な権太楼師匠が二席目に披露してくださったのは『鼠穴』。
「夢は五臓の疲れ」ということわざがキーワードとなるこの演目。権太楼師匠は二転三転の壮大な人間ドラマと「オチ」のコントラストが際立つ難しい噺を、一席目に負けず劣らずの……、いえ、それ以上の大熱演でたっぷりと披露してくださいました。
江戸伝統野菜を楽しむ
本日は、OmeFarmから、いつもお越しの島田さんではなく農場長の松尾さんがお野菜をご紹介くださいました。
本日の伝統野菜はスナップエンドウ。夏野菜の世話で忙しいこの時節、その合間に栽培するには意外と手間がかかり、ゆえに奥深い「豆」の話を聞かせていただきました。
お酒を楽しむ
今宵のお酒をご用意いただいたのは、「東寄席」三回目のご紹介となる小澤酒造さん。
元禄十五年(一七〇二年)創業の歴史ある酒造です。
東京の奥座敷奥多摩に蔵を構え作られる「澤乃井」は、水をはじめ、その土地にこだわった原材料から作られる美酒。
その名はその昔、蔵の所在地が「沢井村」と呼ばれていたことに由ったとのことで、栓にはそれに因んだ「サワガニ」のマークが描かれています。
(写真右から)
澤乃井 純米生酒 さわ音
季節限定の、涼しげなパッケージが特徴の生酒。
澤乃井 特別純米酒
しっとりとした豊かな味わいを持ちつつ、食中酒にも適した一品。
澤乃井 大吟醸
山田錦を使ったふくよかな味わいと余韻が楽しめる大吟醸。
澤乃井 熟成酒 蔵守二〇一三年純米
「蔵守の会」限定の熟成酒を特別にご提供いただきました。
お楽しみ抽選会
最後は東寄席恒例の「お楽しみ抽選会」です。
演舞場から柳家権太楼師匠のサイン入りポスター。OmeFarmさんからはスナップエンドウとお届けお野菜セット。小澤酒造さんからは酒粕を使ったおこしをはじめ、オリジナルの手ぬぐいや前掛け、日本酒。そして権太楼師匠からは四枚の素敵な色紙をご提供いただきました。
今回も満員御礼、大盛況のうちに幕を閉じた『東寄席』。
次回は2019年5月30日(木)、「柳家喬太郎 独演会」です! どうぞお楽しみに!